・ウェブサイト:台湾国家人権博物館特別展 私たちのくらしと人権
・映画『流麻溝十五号』2024年
・若林正丈著『台湾の政治 中華民国台湾化の戦後史 増補新装版』東京大学出版会、2021年
戒厳令
一般的に戒厳令とは、全国または特定地域において戦時あるいは大災害などの非常事態が発生した時に、一時的に立法、司法または行政権のすべてまたは一部を軍に移管する命令である。台湾では1947年に中国国民党(以下、国民党)政権が、台湾全域で起きた政治的な抗議活動を弾圧するため(二二八事件)、約2ヶ月間の戒厳令を発した。その後、国共内戦で台湾に敗走した国民党政権は、反共戦争を理由として1949年に再び戒厳令を発した。この戒厳令は、1987年に解除されるまで38年続き、その間は新たな政党の結成が禁止されるなど、出版、結社、言論などの人権が厳しく制限された。そのほか、新聞社の数が政府に制限されるなどの自由権の抑制は、戦後の台湾において国民党による一党独裁体制を支えた。また、戒厳令によって治安体制が軍の管轄下になったため、社会主義者、台湾独立派、民主化を訴える運動家などに加え、一般市民への厳しい弾圧(白色テロ)が可能となった。