高雄市立歷史博物館 高雄市立歴史博物館

日本統治時代の高雄市役所から台湾初の自治体運営の博物館へ

張暁旻撮影

高雄市立歴史博物館は、1998年に正式にオープンした、台湾初の地方自治体が経営する歴史博物館です。この建物の歴史は、日本統治時代に遡ります。1939(昭和14)年に高雄市役所として清水建設により建造され、戦後から1992年までは高雄市政府の庁舎として使われていました。50年にわたって高雄市の最高行政機関でしたが、1992年1月に高雄市政府が移転し、その役割を終えました。のちに、高雄市の歴史や文化の保存と推進を目指す「高雄市立歴史博物館」として生まれ変わり、1998年10月25日に開館しました。2004年には高雄市の市定古蹟に指定されました。

学びのポイント

建物自体が最大の展示物

高雄市立歴史博物館は、建物自体が最も重要な収蔵品であり、最大の展示物でもあります。最大の特色は「帝冠様式」という建築様式で、鉄筋コンクリート造りに、屋根や壁などに東洋風の装飾が施されている特殊なデザインです。洋風建築に東洋風のテイストを組み合わせた「帝冠様式」は、昭和初期だけに限ってみられ、台湾では特に高雄に多く建造されました。これは、高雄が戦時体制下の南進政策の拠点として位置づけられたことと無縁ではないと思われます。南進基地の最前線の重要な行政機関としての威厳をアピールする一方で、日本の伝統様式を際立たせ、「帝国臣民」としての意識を高めようとする時代を象徴するデザインともいわれています。

建物は最大の展示物、ロビー各所に和洋折衷の建築要素が見られます(張暁旻撮影)

二二八事件が起こった重要な現場

日本の統治が終わり、中華民国が台湾を接収して間もなく、1947年に台北で二二八事件が勃発、のちに台湾各地に拡大して高雄市内でも騒乱が起こります。市政府、議会や地方有力者は、3月5日に高雄二二八事件処理委員会を組織し衝突の拡大を抑えようとしましたが、翌6日に高雄要塞司令部が鎮圧命令を出し、軍隊が市政府や高雄駅に突入して無差別に発砲を行い、数多くの死傷者が出ました。大陸からの支援軍による台湾全土での大弾圧が始まった同8日より2日も早かったのです。こうして、高雄は台湾で初めて軍事鎮圧された地となり、博物館も二二八事件の重要な現場となりました。毎年2月28日になると、博物館ではその追悼式や記念イベントなどが開催されます。

1/20のジオラマで二二八事件の現場を再現(張暁旻撮影)

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】「二二八事件」について調べてみましょう。
  2. 【事前学習】【事後学習】「帝冠様式建築」について調べてみましょう。
  3. 【現地体験学習】建物に見られる「和洋折衷」のモチーフと「二二八事件当時の緊急脱出口」の場所を探してみましょう。

参考資料

帝冠様式については、佐藤嘉明『神奈川県庁本庁舎と大正・昭和初期の神奈川県営繕技術者に関する建築史的研究』(横浜国立大学博士論文、2006年)の「第5章 (付論)帝冠様式について」の中で詳しく紹介されています。 また、二二八事件については、周婉窈『増補版 図説台湾の歴史』(平凡社、2013年)の「戦後篇 ポストコロニアルの泥沼」、戴国煇『台湾』(岩波新書、1988 年)の第4章「光復の明と暗、2・28事件の悲劇」、若林正丈『台湾―変容し躊躇するアイデンティティ』(ちくま新書、2001年)の第3章「「中華民国」がやって来た―二・二八事件と中国内戦」などがおすすめです。

(張暁旻)

ウェブサイト
公式http://khm.org.tw/ 交通部観光局https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003121&id=C100_357 高雄旅遊網(高雄市政府観光局)https://khh.travel/Article.aspx?a=6868&l=3&stype=1058&sitem=4115
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所在地
高雄市塩埕区中正四路272号
特記事項
最大30人までのガイド申し込みが可能です。(見学予定日の1週間前までに申し込んでください。)