二階の展示場では時系列で、なぜ台湾住民が戦後中国大陸からやってきた
台湾省行政長官の陳儀に反対し、政治改革の要求を提出したのかを説明
し、さらに武力鎮圧で多くの住民が犠牲になったこと、社会エリート層へ
の打撃やエスニック集団の対立なども解説しています。犠牲者の写真や遺
品の展示は特に注目すべきものです。最後には「施儒珍の壁」という展示
があり、事件後の白色テロのなかで、18年間自室に隠れ続けることを余
儀なくされた施儒珍という人物の生活ぶりが紹介されています。
二二八国家紀念館提供
1946年5月1日、台湾省参議会の成立大会が本館の二階で開かれました。
二階の議事堂は台湾の民主の殿堂とも言えます。しかし翌年、多くの議員
が事件に巻き込まれ、犠牲者も出ました。これが記念館に指定された主な
理由です。また周りには植物園と小中高の学校があり、総統府と総統官邸
に近い立地条件、赤レンガの建造物、教育会館から議会を経て文化センタ
ーになったという沿革も重視されました。
二二八国家紀念館提供
この建物は記念館として運営されていますが、運営母体である財団法人二
二八事件紀念基金会もここに入居しています。1995年、「二二八事件処
理及び補償条例」に基づいて基金会が設置され、賠償金受給対象の認定と
支給の業務を担当し、毎年の追悼記念式典の主催機関ともなりました。ま
た、史料文物の整理保存、出版や歴史教育、国際交流なども基金会の業務
です。