白色テロ
(日:はくしょくテロ、英:White Terror)
国家権力によって反対勢力に対して行われる弾圧。元々はフランス革命期(1789-1799)に、白をシンボルカラーとする王室を擁護する右派が、革命を推進する左派を弾圧する行動を指した。
台湾における白色テロとは、1949年5月20日の戒厳令施行から、国家暴力の法的根拠となった「懲治叛乱条例」が廃止される1991年6月3日までの42年間に行われた弾圧を指す。弾圧の主な理由は:①社会主義、②台湾独立、③民主化運動、④政府批判に関わることであった。政治犯は政治警察による長期勾留や拷問を受けたが、冤罪も多数あった。政治事件に関わる裁判は非公開の軍事法廷において行われ、弁護人をつけることさえできなかった。死刑判決を受けた政治犯は直ちに処刑された。懲役刑判決を受けた政治犯は専用の刑務所に監禁された。多くの政治犯は運よく釈放されても監視が続き、本人のみならず家族までも入学や就職が妨害されるなど極めて困難な状況に置かれた。
2021年の台湾政府報告書によれば、台湾における二二八事件及び白色テロの被害者数は約二万人とされる。しかし、未発見の記録が多い可能性が高いので、実際の人数は二万人を上回ると考えられている。
台湾の民主化とともに白色テロは終結したものの、白色テロを巡る「移行期の正義」、すなわち過去の人権侵害を清算する事業はまだ続いている。その中で、白色テロ期に人権侵害が行われた施設の調査、保存と公開は、「移行期の正義」の主軸の一つである。関連施設を巡ることによって、台湾社会における白色テロの爪痕を知ることができる。
もっと知りたい方のために
・映画『流麻溝十五号』2024年
・游珮芸・ 周見信著、倉本知明翻訳『台湾の少年1 統治時代生まれ』『台湾の少年 2 収容所島の十年』岩波書店、2022年
・「おうちで楽しもう台湾の博物館 第3回 国家人権博物館」