・久保文克『戦前日本製糖業の史的研究』文眞堂、2022年
・平井健介『日本統治下の台湾:開発・植民地主義・主体性』名古屋大学出版会、2024年
・台湾修学旅行アカデミー by SNET台湾「第12回 台湾と砂糖~甘い砂糖のしょっぱい話~」(講師:清水美里)
(台湾における)製糖業
製糖業は、サトウキビやテンサイを原料として砂糖を製造する産業。日本では明治時代以前から国内での砂糖生産が試みられていたが、台湾領有を契機として飛躍的な発展を遂げた。台湾における砂糖生産はオランダ東インド会社がそのはじめとされる。後の清朝統治時代にも継続的に生産が行われ、日本統治時代になると大規模な工場が建設され、本格的に機械化が進められた。台湾総督府は原料採取区域制などの制度を整備し、補助金を支給することで機械式製糖業の発展を支援したため、製糖業は台湾産業の中心になるまでに発達した。それに伴い、台湾では長くサトウキビなどを生産する農業が主要産業の座にあった。統治者が日本から中華民国へ変わっても、製糖業は台湾の基幹産業であった。しかし、都市化と工業化の進展により、1970年代以降は徐々に衰退が進み、現在の台湾に残る製糖工場は善化と虎尾のわずか2か所となっている。
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松葉隼提供