民主進歩党(民進党)

郭書瑜

(日:みんしゅしんぽとう(みんしんとう)、英:Democratic Progressive Party(DDP))

民主進步党(以下、民進党)は台湾の代表的な政党のひとつであり、2024年現在の与党である。

1949年に、中国国民党(以下、国民党)は台湾に政権を移し、中国大陸に反撃する「大陸反攻」という名目で、以後38年間にわたることになる戒厳令を敷いた。国民党の権威主義的支配のもとで、言論や思想の自由は抑えられ、野党を結成することは禁じられたが、「党外勢力」と呼ばれる反国民党の活動家や政治家らの活動が続けられていた。「党外」の「党」は国民党であり、「党外」は「国民党以外」を意味する。党外勢力は選挙活動や民主化運動を通じて、限られた政治空間の中で民主主義と自由を求めて戦い、台湾の民主化を推し進めた。しかし、1979年末に党外勢力に対する大きな政治弾圧事件である美麗島事件が発生し、党外勢力のリーダーたちは逮捕、投獄された。

美麗島事件により党外勢力の活動は挫折したが、逮捕されたメンバーの親族や弁護人たちは自ら選挙に身を投じ、党外勢力を引き継いでいった。1980年代に入ると政治運動と社会運動が盛んになり、党外勢力が野党結成禁止の制約を打破して、1986年に民主進歩党を結成した。

2000年、民進党の陳水扁が総統選挙に勝利し、初の民主的な政権交代が実現した。 その後、2016年に蔡英文が再び民進党政権を実現している。2024年には民進党の頼清徳が総統選に勝利し、2024年現在民進党が政権与党となっている。

もっと知りたい方のために

・若林正丈『台湾―変容し躊躇するアイデンティティ』ちくま新書、2001年
・家永真幸『台湾のアイデンティティ』文藝春秋、2023年
・小笠原欣幸『台湾総統選挙』晃洋書房、2019年
・若林正丈『台湾の政治 増補新装版』東京大学出版会、2021年
・関連リンク 民主進步黨