原台南愛国婦人会館 台南愛国婦人館

日本統治時代の建物が復原され、観光スポットして注目を浴びる

黒羽夏彦撮影

台南孔子廟周辺には日本統治時代の古い建物がたくさんあり、最近はリノベーション(再生、活用)されて、新しい観光スポットとして注目を浴びています。台南愛国婦人館もそうした中の一つです。1940年に、台湾愛国婦人会台南支部として建てられました。戦後は紅十字会(赤十字社)の管轄下に入り、アメリカ大使館広報局台南支部や台南市図書館分館になったこともあります。1998年に台南市の市定古蹟となりました。その後、改修工事が行われ、2011年から一般開放されています。2012年に「文創PLUS-臺南創意中心」となりました。「文創」とは新しい文化を創造していく産業を意味しており、レトロな建築空間を文化の発信拠点にしようという意図がうかがえます。

学びのポイント

愛国婦人会とは何ですか?

愛国婦人会は傷病兵の救護や軍人遺族の援護を目的とする婦人団体で、1901年に奥村五百子によって創立されました。1904年に台湾支部が設立され、1933年に台湾本部へと昇格します。台湾本部長は台湾総督府総務長官夫人、台南支部長は台南州知事夫人が務めており、総督府の台湾統治を補完する組織だったことが分かります。台湾の愛国婦人会は、台湾在住日本人女性に社交の場を提供するとともに、台湾人女性の入会勧誘も図り、植民地における女性を動員する役割を果たしていました。

どのような建物ですか?

現在の建物は1940年に建てられました。和洋折衷の木造建築で、二つの部分で構成されています。北側の大通りに面しているのが愛国婦人会本館で、一般公開されています。修築工事により、日本統治時代の雰囲気が再現されています。二階の一室には畳が敷かれ、日本情緒を感じられる空間になっています。大広間はイベントホールとして使用できます。一階には「文創」関係の店もあります。本館と廊下でつながっている南側は宿舎だった建物で、現在は、紅十字会(赤十字社)台南市支会が使用しています。

黒羽夏彦撮影

付近には他にどんな建物がありますか?

台南愛国婦人館は孔子廟から道路をはさんだ南側に位置しています。日本統治時代、孔子廟の周囲には行政機関が集中していました。現在ではいずれもリノベーションされ、一般公開されています。愛国婦人会の並びには旧台南地方法院(現・司法博物館)があります。孔子廟をはさんだ北側には旧台南山林事務所(現・葉石濤文学紀念館)、旧台南州庁(現・台湾文学館)、旧台南警察署(現・台南市美術館一館)などがあります。南門路を南へ歩いていくと、旧台南放送局(現・南門電影書院)があります。台南市内には他にも日本統治時代の建築物がたくさん残っているので、探してみてください。

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】台湾が日本の植民地だった時代、女性(日本人、台湾人を問わず)はどのような生活をしていたのか、調べてみましょう。
  2. 【事前学習】【事後学習】戦時中の日本内地および台湾における女性の動員について調べてみましょう。
  3. 【現地体験学習】現地で建物の特徴を確認してみましょう。

参考資料

愛国婦人会館の概要は、下記の「台南旅遊網」(日本語あり)の紹介ページを参照してください。台湾愛国婦人会については、専門的ですが、『復刻版 愛国婦人会台湾本部沿革誌(下)』(ゆまに書房、2007年)所収の解説が参考になります。植民地時代の台湾における女性については、竹中信子『植民地台湾の日本女性生活史』(明治篇/大正篇/昭和篇〔上〕/昭和篇〔下〕、田畑書店、1995~2001年)と洪郁如『近代台湾女性史──日本の植民統治と「新女性」の誕生』(勁草書房、2001年)が詳しく、愛国婦人会についても言及されています。

(黒羽夏彦)

ウェブサイト
台南旅遊網(台南市政府観光旅遊局)https://www.twtainan.net/ja/attractions/detail/4785
所在地
台南市中西区府前路一段195号