松葉隼撮影

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臺北機廠鐵道博物館園區

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台北機廠 鉄道博物館園区

台北都心に今も生きる鉄道工場跡

台北機廠は、日本統治時代の1935年に完成し、2013年まで使われた鉄道工場です。台北メトロ南京三民駅と国父紀念館駅のほぼ中間に位置し、すぐ南側には旧タバコ工場をリノベーション(改修)した松山文創園区や、台北101やデパートが広がる信義エリアがあります。2004年に工場機能を他の車両基地へ移転することになり、跡地の再開発が検討されましたが、保存を望む声が多く、2015年に工場跡全体が国定古蹟に指定され、保存活用されることが決まりました。2025年に博物館としての開館を目指し、現在は各部の修復や資料の整理作業が行われていますが、ウェブからの事前予約で見学ができます(原則、水 ・土曜日)。時間帯によっては、日本語のガイドをお願いすることもできます。ただし工事の都合によっては見学できない場合もあるので注意が必要です。

学びのポイント

「時代」を動かす鉄道を支えた場所

鉄道は世界を大きく変えましたが、台湾も鉄道によって大きく変わりました。清朝時代、台湾を担当する知事であった劉銘伝は、洋務運動の一環として台湾を縦断する鉄道を計画し、基隆から台北、その後新竹までが造られました。このとき、現在の台北駅西側に台北機器局と呼ばれる兵器製造や鉄道車両整備をする工場が設置されました。この工場は日本統治時代にも引き継がれ、台北鉄道工場になりました。1920年にはその東側に鉄道部の庁舎(現・国立台湾博物館鉄道部園区)が建設されます。鉄道の発達とともに、台北鉄道工場が手狭になったため、1935年に現在の松山へ移転しました。「東洋最大」とも称された当時最新の現代的なこの工場は、戦後の中華民国政府に引き継がれ、2013年まで鉄道工場として使用されました。約80年にわたって、台湾の鉄道を支えた工場でした。

80年におよぶ工業、労働の歴史を物語る貴重な場

将来的には、18ヘクタールを超える広大な土地に、工場時代そのままの設備を生かした博物館がオープンする予定です。世界には鉄道を主題とする数多くの博物館がありますが、これだけ大規模な工場跡をそのまま博物館とする例はほとんどありません。それだけに、博物館開館前の現在でも見学することができるのはとても貴重です。清朝時代から残されていると考えられる大型機械から、戦後アメリカの支援を得て導入された大型クレーンなど、機械や工具からも、台湾がこの百年間に経験した工業的な発達を見ることができます。またタイムカードやスローガン、ポスター、さらにはボードゲームなどから、工場の労働者の生活や労働の様子を身近に感じることもできます。建築物が、日本統治時代と戦後の2つの時代にまたがって建設されていることから、工法や設計の違いを見ることもできます。なかでも、労働者のために造られた大浴場は、ローマのテルマエを思わせる優雅なもので、数多くの映画やドラマ、PVのロケ地として利用されてきました。様々な角度から、台湾や世界の歴史を振り返ることができる、いまなお生きる工場跡です。

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】台湾にはじめて鉄道を造った劉銘伝について調 べてみましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】台湾の鉄道について調べてみましょう。
  • 【現地体験学習】工場に残された、昔の働く様子を観察してみましょう。/span>
参考資料
台湾の鉄道については、多くのガイドブックなどで紹介されています。『台湾鉄道パーフェクト : 懐かしくも新鮮な麗しの台湾鉄道』(交通新聞社、2014年)、片倉佳史『台湾鉄道の旅 : 全線全駅路線図付き車窓ガイド』(JTBパブリッシング、2011年)など。やや専門的な書籍としては、小牟田哲彦『大日本帝国の海外鉄道』(東京堂出版、 2015年)、 高橋泰隆『日本植民地鉄道史論 : 台湾、朝鮮、満州、華北、華中鉄道の経営史的研究』(日本経済評論社、1995年)などがあります。台北鉄道工場については、『鉄道ピクトリアル』(第63巻第8号、2013年)に紹介記事があります。SNET台湾のYouTube番組「台湾修学旅行アカデミー 鉄道編 EP1 鉄道博物館へ行こう」「台湾修学旅行アカデミー 鉄道編 EP2 鉄道博物館を知ろう」「台湾修学旅行アカデミー 鉄道編 EP3 鉄道博物館の電車に乗ろう!」は松葉隼、陳家豪による台北機廠の現地リポートです。松葉隼氏講演「台湾鉄道から見た帝国日本・植民地」では、帝国日本はなぜ台湾に鉄道を作ったのか?について深く楽しく語っています。

(松葉隼)

ウェブサイト
公式 https://trw.moc.gov.tw/
所在地
台北市信義区市民大道五段50号
特記事項
参観には事前予約が必要。原則として水曜日、土曜日公開。ガイド付き。 なお修復工事中のため、現在見学ができない部分が多数あり。