西門紅樓 西門紅楼

セクシャルマイノリティにフレンドリーな文化創意産業の拠点

上水流久彦撮影

西門紅楼は、日本統治時代の1908年に公設市場として建てられ、1997年に三級古蹟に指定されました。赤レンガ造りの美しい建物で、戦前は日本人が多く買い物をし、食事をしました。当時、西門紅楼から南西側(萬華)は台湾人が多く住む居住区で、現在の総統府がある東側は日本人の居住区でした。第二次世界大戦後は劇場や映画館として使われて、2000年に一部が火災で焼けましたが、現在はカフェも併設され、文化イベントや文化創意産業の拠点となっています。文化創意産業とは、台湾の文化を基盤としてアートな商品をつくる、または歴史的建築物をリノベーション(改修)して活用する等のビジネスです。

学びのポイント

台湾で広がる文化創意産業

文化創意産業は、現代の台湾社会を読み解く重要な考え方です。台湾では略して「文創」と言われます。自分たちの文化が持つ要素(デザイン、習慣、建築物など)を創造的におしゃれで、モダンで、アートなものに変え、それらによってビジネスを行う産業です。文化創意産業は、台湾の様々な場所で見ることができます。例えば、台南市にある林百貨、台湾東部の花蓮市にある酒工場跡地を活用した花蓮文化創意産業園区等です。この産業の隆盛は、台湾の人々が自分たちの文化に自信を持っていることの表れとも言えます。

セクシャルマイノリティにフレンドリーな台湾

2019年5月、台湾では同性婚が合法化されました。2020年時点では、東アジアで唯一のことです。もちろん、台湾社会にもセクシャルマイノリティへの偏見、差別は存在します。しかし、近年は、若い人々を中心にセクシャルマイノリティへの連帯、支援も広がっています。西門紅楼の内部にはジェンダーレストイレ(性別に関係なく誰でも入れるトイレ)が設置され、周囲にはセクシャルマイノリティが集まるレストランやバーがあり、西門紅楼は彼らにフレンドリーな台湾社会を実感できるスポットでもあります。

利活用される古蹟・歴史遺産

古蹟や歴史遺産と聞くと、大事に保存されているという印象を持つかもしれません。または日本の寺院のように静寂な雰囲気の佇まいを思い出すでしょうか。しかし、台湾の古蹟や歴史遺産は違います。2000年に法律が変わり、その利活用が可能となりました。その結果、カフェやレストランが併設され、「文創」商品が販売されるようになりました。多くの古蹟・歴史遺産が、レトロでモダンな雰囲気を楽しむ「文化創意産業」の拠点になっています。

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】西門紅楼以外の文化創意産業のよりリノベーションされた台湾スポットについて探してみましょう。日本にはリノベーションされて活用されている歴史的建造物にそのようなものがあるか調べてみましょう。
  2. 【事前学習】【事後学習】日本統治期の台北において日本から来た人と台湾の人々はどのあたりに住んでいたのでしょうか。大東和重『台湾の歴史と文化―六つの時代が織りなす「美麗島」』の182-189頁を読み、確認してみましょう。
  3. 【現地体験学習】ジェンダーレストイレを使用して、性別で分かれたトイレと何が違うのかを考え、性別で分ける発想の問題点を考えてみましょう。

参考資料

文化創意産業については、新井一二三著『台湾物語:「麗しの島」過去・現在・未来』の「文化創意ブーム」を参考にしてみましょう。文創ムーブメント牽引してきたクリエーターたちが文創を語った小路輔『TAIWAN EYES GUIDE FOR 台湾文創』(トゥーヴァージンズ、2020)、小路輔『TAIWAN FACE Guide for 台湾文創』(トゥーヴァージンズ、2018)を読むと、台湾カルチャーの今とこれからを知り感じることができるでしょう。日本統治時代の建築物を保存するのはなぜか、岡井祟之編『アーバンカルチャーズ』(晃洋書房、2019)の第15章「都市に刻まれる負の歴史―台湾,韓国,沖縄から―」が参考になります。また、台湾社会のセクシャルマイノリティについては、赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための60章』(明石書店、2016年)の第30章「性的マイノリティ運動」や、専門書ですが、瀬地山角『ジェンダーとセクシャリティで見る東アジア』(勁草書房、2017年)の第7章「「LGBTフレンドリーな台湾」の誕生」がおすすめです。台北の歴史については、中央研究院デジタル文化センター『台北歴史地図散歩』(ホビージャパン、2019年)を参考にしましょう。日本統治期の西門紅楼および西門町については、大東和重『台湾の歴史と文化―六つの時代が織りなす「美麗島」』(中公新書、2020年)の第五章「日本による植民地統治―民族間の壁と共存」を読んでみましょう。SNET台湾のYouTube番組「台湾修学旅行アカデミー 第7回 建築から知る台湾」(講師:上水流久彦)では、日本統治期に建てられた建築の見方につ紹介しています。合わせてご視聴ください

(上水流久彦)

ウェブサイト
公式 https://www.redhouse.taipei/
交通部観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003016&id=3405/
台北旅遊網(台北市政府観光伝播局)https://www.travel.taipei/ja/attraction/details/796
所在地
台北市萬華区成都路10号