安里和晃編『国際移動と親密圏ケア・結婚・セックス』京都大学学術出版会、2018年
落合恵美子編『親密圏と公共圏の再編成――アジア近代からの問い』京都大学学術出版会、2013年
鄭安君『台湾の外国人介護労働者――雇用主・仲介業者・労働者による選択とその課題』明石書店、2021年
横田祥子『家族を生み出す――台湾をめぐる国際結婚の民族誌』春風社、2021年
(台湾の)外国人労働者(がいこくじんろうどうしゃ)
台湾の外国人労働者は、専門的知識や技術をもって教育、スポーツ、芸術分野などに従事するホワイトカラー人材と、産業・社会福祉分野に従事するブルーカラー人材に分けることができる。ここでは主に後者について述べる。
台湾では急激に少子高齢化が進行しており、2025年には超高齢社会(65歳以上の割合が21%を超えた社会)に突入したと推測されている。これに伴って不足する労働力を補うため、1986年からは建設業などの産業分野に、1992年からは社会福祉分野に外国人労働者を導入している。インドネシア、ベトナム、フィリピン出身者が多く、2024年には約82万人に達しており、主に製造業・建設業・農業・漁業などの産業分野と、介護・福祉業に従事している。
近年、東アジアで人材確保競争が激化する中で、台湾は2022年に「移住労働者永住政策」を開始し、満6年の勤務年数と一定の賃金額を満たした外国人労働者は、雇用主が申請すれば「中程度技術人材」に昇格でき、さらに5年勤務すれば永住を申請できることになった。
台北市の台北駅構内広場「大廳」、桃園市の中壢駅「前站」の中平商圏・東南アジア料理街、台中市の東協広場のように、主要駅等の周辺には外国人労働者向けのレストランや雑貨店が立ち並び、週末には同郷の友人たちと集う人々で賑わっている。
