台南神學院 台南神学院

台湾初の近代高等教育機関

高井ヘラー由紀提供

台南神学院は、台湾最大のプロテスタント教会「台湾基督長老教会」に属する神学校です。1865年、イングランド長老教会から医療宣教師ジェームズ. L. マクスウェルが台湾南部に派遣され、プロテスタントのキリスト教の布教が始まりました。その後、台湾現地での伝道者を養成するため、1876年にトマス・バークレイ博士が「府城大学」(「府城」は台南の意)を設立、1903年に現在の敷地に移転、戦後「台南神学院」と改称して今日に至っています。新楼街を挟んで南側のキャンパスには英国式の中庭を囲む礼拝堂と校舎があり、うち礼拝堂と校舎本館部分が古蹟に指定されています。北側には初代台湾人院長の黄彰輝を記念する図書館、彰輝館などがあります。緑豊かで歴史を感じさせるこのキャンパスは市民に親しまれ、散歩や写真撮影のため多くの人々が気軽に訪れる場所になっています。

学びのポイント

台湾初の大学?

清朝時代の台湾に西洋的な近代教育機関はありませんでした。西洋では神学は大学で学びます。宣教師は、伝道者を養成するこの教育機関を西洋式に「大学(College)」と名付け、高等レベルの神学教育を授けようとしました。その意味で台南神学院は台湾最初の大学といえましょう。しかし、教会附設の学校で初等教育を受けただけの学生たちには、高等教育は難しすぎました。そこで宣教師たちは、その後、神学教育を受ける準備段階と位置づけられる中等教育機関(現・長栄高等中学校)を設立しました。

西洋の大学を思わせる校舎と南国風のヤシ並木(高井ヘラー由紀提供)

神学院の隣になぜキリスト教病院が?

19世紀当初のプロテスタント布教事業は教育、医療、伝道の三つがセットになっていました。台南神学院のキャンパスが新楼医院に隣接しているのは、もともと敷地が一緒だったためです。かつてはその敷地内に中学校も宣教師住宅もありました。現神学院の北側キャンパス中央にある住居跡は、創立者バークレイ博士がかつて住んでいた家でした。

バークレイ博士住居跡(高井ヘラー由紀提供)

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】台湾には、中国との関係、台湾のあり方をめぐり、様々な考えを持つ人がいます。黄彰輝をはじめとする台南神学院関係者には、どのような考えを持つ人が多いか調べてみましょう。
  2. 【事前学習】【事後学習】台湾にはどのような母語があるのかを調べてみましょう。
  3. 【現地体験学習】西洋宣教師の遺したものを大切にする精神と、台湾を大切にする精神とが、どのように共存しているか観察してみましょう。

参考資料

台南神学院創設者のトマス・バークレイについては、E・バンド(松谷好明他訳)『トマス・バークレー―台湾に生涯をささげた宣教師』(教文館、2009年)、台湾人初の院長となった黃彰輝については張瑞雄(大宮博訳)『台湾人の先覚者:黃彰輝』(教文館、2007年)を読むと、台南神学院についての記述が出てきます。台湾基督長老教会を中心とするキリスト教の歴史については、古くなりますが鄭児玉(吉田寅訳)「台湾のキリスト教」『アジア・キリスト教史(1)』(教文館、1981年、69-111頁)を読むと、全体の流れが理解できます。台湾をあり方を学ぶためには、SNET台湾チャンネルのYouTube番組「台湾修学旅行アカデミー」の第1回 松田康博「台湾とは何か?」がおすすめです。

(高井ヘラー由紀)

ウェブサイト
公式http://www.ttcs.org.tw 台南旅遊網(台南市政府観光旅遊局)https://www.twtainan.net/ja/attractions/detail/4824
所在地
台南市東区東門路一段117号
特記事項
団体見学の場合は事前に連絡する必要があります。