安平古堡 安平古堡

ゼーランディア城に立ち、遥か海原を越えてやって来た人々の冒険に思いを馳せる

台南市政府観光旅遊網図庫系統 李宜蘭撮影

安平はかつて海に突き出した砂洲で、現在の台南市中心部との間に台江内海という海が広がっていました。オランダ東インド会社はこの砂洲に目をつけ、貿易拠点としてゼーランディア城を築きました。鄭成功が東インド会社を追い出すと安平城と改名しました。現在の安平古堡という名前は、これにちなんだものです。清代の19世紀後半に安平が開港地になると欧米の領事や商人が城跡の近くに駐在しました。オランダ時代の遺構は城壁だけですが、城跡内の博物館で詳しい歴史を知ることができます。また、周囲にはかつての商館(徳記洋行)や倉庫(安平樹屋)も残っているので、あわせて散歩してみると良いでしょう。

学びのポイント

誰が建てたのですか?

安平古堡は1624年、オランダ東インド会社によって築かれたゼーランディア城(Fort Zeelandia、熱蘭遮城)の遺跡です。ゼーランディアという呼び名はオランダの地名に由来します。1662年、鄭成功がオランダ東インド会社を台湾から追い出した後、父の出身地にちなんで安平城と改名しました。1683年に鄭氏政権が清朝によって滅ぼされてからは荒れ果ててしまい、清代末期には城壁の一部が近くの億載金城という新型城塞の建材に利用されました。日本統治時代にはこの地に税関宿舎が置かれたこともあります。戦後、安平古堡と改名され、現在では国定古蹟となっています。

台南市政府観光旅遊網図庫系統 方義雄撮影

オランダ東インド会社はなぜ台湾へ来たのですか?

15世紀末からヨーロッパ諸国の海外進出が始まり、16世紀から17世紀にかけて、東アジアではスペイン、ポルトガル、イギリス、そしてオランダといった国々が勢力争いをしていました。オランダは1602年に東インド会社を設立し、インドネシアのバタヴィア(現在のジャカルタ)や日本の平戸、長崎に拠点をつくります。ところが、中間にあたる中国大陸で拠点をつくるのに失敗してしまい、そこで台湾へ来てゼーランディア城を築きました。ここを中継点として日本や中国大陸と貿易を行い、同時に台湾で植民地経営も始めます。東インド会社が連れてきた宣教師は、台湾の先住民族にキリスト教の布教もしました。

日本とも関係があったそうですね?

東アジアの海では昔から「倭寇」と呼ばれる人々が活動していました。16世紀後半には東南アジアへ行って交易をする日本人も現れ、17世紀初頭に江戸幕府は朱印船貿易を制度化します。そうした中で台湾へ来て先住民族や漢人と貿易を行う日本人も現れました。台湾から日本へ輸入された鹿皮は鎧に使われました。安平の発掘調査では日本の陶磁器も出土しています。日本人商人とオランダ東インド会社との間で貿易摩擦も発生し、1627年に朱印船船長の浜田弥兵衛がゼーランディア城のオランダ人長官を人質にしてオランダがかけた関税を撤廃させる事件も起こりました。しかし、江戸幕府がいわゆる「鎖国令」を出すと朱印船貿易は終わり、日本人商人は台湾へ来ることができなくなります。

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】大航海時代とは何ですか? 日本や台湾との関係について調べてみましょう。
  2. 【事前学習】【事後学習】オランダ東インド会社がアジアで何をしたのか、台湾での活動を中心に調べてみましょう。
  3. 【現地体験学習】安平古堡のどの部分がオランダ東インド会社によって造られたのか、現地で確認してみましょう。

参考資料

オランダ時代については伊藤潔『台湾──四百年の歴史と展望』(中公新書、1993年)の「序章 大航海時代の波しぶき」「第一章 オランダ支配下の台湾」がいいでしょう。専門的ですが、林田芳雄『蘭領台湾史──オランダ治下38年の実情』(汲古書院、2011年)もあります。岩生成一『日本の歴史14 鎖国』(中公文庫、2005年)は東アジア交易の時代背景が分かります。オランダ東インド会社については永積昭『オランダ東インド会社』(講談社学術文庫、2000年)、村上直次郎訳・中村孝志編『バタヴィア城日誌』(1~3巻、平凡社・東洋文庫、1970~1975年)、生田滋訳『大航海時代叢書 第II期 11オランダ東インド会社と東南アジア』(岩波書店、1993年)などもあります。「台南を見ると台湾がわかる」のはなぜか?SNET台湾のYouTube番組「台湾修学旅行アカデミー 第7回 台湾Area Studies~台南篇~」(講師:大東和重)も合わせてご視聴ください。

(黒羽夏彦)

ウェブサイト
交通部観光局https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003119&id=147 台南旅遊網(台南市政府観光旅遊局)https://www.twtainan.net/ja/attractions/detail/4882
所在地
台南市安平区国勝路82号