台湾に戻った後は各地の芸術大学で教鞭をとり、後継者の育成に努めました。陳は、堅実なデッサンと画面構成に基づき、静謐な色調を用いて人間の内面を表現することにとことん向き合った画家です。台北にある国家音楽庁には、陳が手がけたフレスコ壁画《樂滿人間》が飾られており、彼の人間に対する洞察力を窺うことができます。
吳建福《天地之美(天地の美)》2014年(福田栞氏提供)
美術館外観(福田栞氏提供)
彰化から人々と芸術文化を未来につなぐ
2014年に開館した彰化県立美術館は、台湾で7番目に建てられた比較的新しい公立美術館です。八卦山大仏風景区のふもと、図書館や生活芸術館などの施設が立ち並ぶ文教エリアに建っています。現在は収蔵品はないものの、開館以来、彰化出身の芸術家の作品を展覧するなど、一般の人々に美術を身近に感じてもらえるようなイベントを企画してきました。
2020年には故宮博物院所蔵の国宝「肉形石」が展示されましたが、彰化の名物「爌肉飯(豚の角煮丼)」とかけて、「看國寶肉形石、吃爌肉飯(国宝の角煮石を見て、角煮丼を食べよう)」と呼びかけました。また、彰化県政府主催の「彰化走讀藝術節(彰化を見て学ぶ芸術祭)」では、彰化県内にある歴史古蹟に、参加者の各々が考案した彰化に関するインスタレーション作品を展示しました。
このように、彰化の過去と現在について理解を深めるきっかけを提供すると同時に、人々が芸術文化に親しめる場を創造するよう努めています。
吳建福《天地之美(天地の美)》2014年(福田栞氏提供)
1930年に竣工した彰化武徳殿(福田栞氏提供)
(中国語)
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