台湾高速鉄道(台灣高速鐵路)

松葉隼

2025年現在、台湾には、南港(台北市)と左営(高雄市)を結ぶ348.5kmの高速鉄道がある(日本の新幹線総延長は約3000km)。台湾では一般的に、「高鉄」(ガオティエ)の略称で知られる。路線には全部で12駅あり、最高速度は時速300km、南港―左営間を最短1時間45分で結ぶ。列車は12両編成で、6号車にはビジネス車が設置され、通常は10-12号車が自由席である。2007年1月5日に板橋(新北市)・左営間で仮開業、3月2日に台北・左営間の全線が開通、2016年には台北・南港間が延伸開業した。年間利用者数は7000万人を超え(日本の年間利用者は約4億人)、それまでの航空機・鉄道・高速バスが担ってきた台湾の長距離移動風景を一変させた。日本では新幹線および在来線は、国鉄からJRへと引き継がれ、基本的に同一事業者が経営・運行を担ってきた。これに対し台湾では、在来線は台湾鉄路有限股份公司(台鉄)、高鉄は政府と民間企業が出資する台湾高速鉄路有限股份公司(台湾高鉄)と、別々の企業によって運営されている。現在台湾高鉄で運用されている700T型の車両は、日本の700系新幹線車両をベースに開発され、日本企業が製造したもので、2027年には、N700SをベースにしたN700STの導入が予定されている。このため、車内のインテリアなどは、日本の新幹線に似ている。巨額の建設コストなどのため、台湾高鉄の経営は安定せず、2015年には国有民営方式に切り替えられたが、近年は台湾での高鉄利用はすっかり定着し、北東部の宜蘭や南部屏東への延伸が計画されている。

台湾高鉄(嘉義駅)(松葉隼氏提供)

台湾高鉄(左営駅)(松葉隼氏提供)

もっと知りたい方のために

・一般社団法人海外鉄道技術協力協会編『最新 世界の高速鉄道』ぎょうせい、2023年
・吉田 修一 『路』文春文庫、2015年

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