美濃客家庄教學農場 美濃客家庄教学農場

2000年代以降の農村を象徴する観光農業施設

陳文栄提供

美濃客家庄教学農場は、高雄市長謝長廷(当時)の秘書をしていた美濃出身の陳文栄によって、1999年に創立された観光施設です。園内では農産加工作業、擂茶(ナッツや茶葉をすりつぶして作る北部客家の茶)作り、農作業などの体験ができ、学校や企業などを単位とする団体での観光も受け入れています。

学びのポイント

2000年前後から急速に進む台湾のルーラルツーリズム

台湾は2002年にWTO(世界貿易機関)に加盟しましたが、それに先立ち1988年に果樹が、1998年に野菜がコメの生産額を抜き、農業の商品作物化が進むとともに農産物の付加価値を重視する時代へと移行していきました。すなわち量より質、意味づけ(体験)に価値がつく時代になったのです。農業体験を商品化する農業観光が始まったのは日本より10年ほど遅い時期でしたが急激に広がり、今では農業の主要な収入の一つとなっています。

美濃の客家文化と農業関連の商品(農産物、農業体験など)を結びつける動きは2000年前後に企業や個人商店から始まり、2005年ごろから農会(農業団体。日本の農業協同組合に当たる)がこの動きに乗って大根、小豆、枝豆などの収穫体験を始めました。

陳文栄提供

地域の枠組み再編とルーラルツーリズム

1990年代の美濃はダム建設反対運動が注目される中、周囲と隔絶した客家文化の箱庭として台湾全土にその名声を広めました。しかし1999年に高雄―旗山(美濃の隣町)を結ぶ全長33キロの10号高速道路が開通し、美濃は高雄からの日帰り旅行圏内に組み込まれました。さらに2002年には美濃とその北側に位置する杉林郷(現・杉林区)を結ぶ月光山トンネルが開通し、美濃は高雄県(現・高雄市)中山間地域への玄関ともなりました。これらの政策によって美濃は閉じた村から高雄市民にとってアクセスのよい観光地へと変貌しました。このような交通の変化にともなう地域の枠組み再編も、農業体験などを中心とする観光に大きく影響しています。

陳文栄提供

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】客家について、「世界史の窓」のサイトをみて基礎知識を整理しておきましょう。
  2. 【現地体験学習】美濃客家庄教学農場では、客家の伝統的な食文化である板條や擂茶作りのDIY体験ができますので、挑戦してみましょう。
  3. 【事後学習】「美濃ダム建設反対運動」は、台湾では初めてのダム建設反対運動として注目を集めました。日本では、ダム建設に際し、地域の住民たちはどのような形で意思表示をしてきたのか調べてみましょう。

参考資料

農村における観光について、やや専門的ですがは。日本村落研究学会『年報村落社会研究41 消費される農村 ポスト生産主義下の「新たな農村問題」』(農山漁村文化協会、2005年)では日本の例を知ることができます。台湾については東正則、林梓聯『世界の最先端を行く台湾のレジャー農業』(農林統計出版、2012年)および梁連文、朴紅『台湾の農村協同組合』(筑波書房、2010年)を読んでみてください。美濃については、専門的ですが、星純子『現代台湾コミュニティ運動の地域社会学』(御茶の水書房、2013年)に詳しく論じられています。

(星純子)

ウェブサイト
公式http://www.hak.com.tw
所在地
高雄市美濃区中興路二段6-1号