國立台灣文學館 国立台湾文学館(旧台南州庁)

100年以上の歴史を持つ建物で台湾文学を味わう

国立台湾文学館提供、林柏樑撮影

国立台湾文学館は、2003年10月に台湾初の国家レベルの文学博物館としてオープンしました。建物は、日本統治時代の1916年に台南州庁として建設されたもので、100年以上の歴史があります。戦後も台南市庁舎などとして使われてきましたが、庁舎移転後、修復、リノベーション(改修)を経て、文学博物館として生まれ変わりました。現在台南だけでなく、台湾全土で歴史的建造物のリノベーションがブームになっていますが、古い建物が多く残る台南の中でもその先駆け的存在でした。常設展のほか、台湾内外の作家個人や文学テーマごとの特別展が随時開催されています。また館内では、文学に関するものだけでなく、建物の歴史、構造に関する展示もされており、100年以上の歴史を持つ建物の成り立ち、秘密も知ることができます。

学びのポイント

台湾文学って何?

現在の台湾では一般的に、先住民族の口承文学から、オランダ、清朝、日本の統治を経て、戦後の中華民国に至るまで、各時代に台湾に移住した人が残した文学作品を全て「台湾文学」と考えています。そのため、文学の創作も様々な言語によって行われてきました。現在台湾の公用語である「国語(中国語)」だけでなく、各先住民の言語、古典漢文、「台湾語」、客家語、日本語、さらに近年増えている東南アジア移民の各母語など、台湾文学の言語の多様性は、そのまま台湾の過去、現在におけるエスニックグループの複雑性、多元性を反映しているのです。

日本語で書かれた「台湾文学」?

日本による植民地統治の約50年間、台湾では日本語が「国語」として教育され、台湾語などの土着言語の使用は制限されたため、台湾の作家、知識人は日本語で文学創作を行うことを余儀なくされました。特に1930年代以降は日本語教育で育った台湾人、台湾在住日本人による文学創作が盛んになります。現在の台湾ではいずれも「台湾文学」の範疇に含まれていますが、同じ日本語で書かれてはいても、その考え方、思想、文学創作の目的、台湾の社会に対する見方は全く異なったものになっています。台湾人が、支配者の言語「日本語」を用いて書いた文学作品は、台湾人が歩んできた苦難の歴史を読み取る作業でもあります。

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】日本語で読める台湾文学にはどのような作品があるか、調べてみましょう。
  2. 【事前学習】【事後学習】作家のバックグラウンド、書かれた当時の社会状況などに注目しながら、台湾文学の作品を実際に読んでみましょう。
  3. 【事後学習】台湾の歴史の中で文学(者)が果たした役割について調べてみましょう。

参考資料

台湾文学について通史的に把握するには、台湾人が書いた二冊の文学史が日本語訳されています。一冊目は葉石濤『台湾文学史』(中島利郎・澤井律之訳、研文出版、2000年)、もう一冊は陳芳明『台湾新文学史』(下村作次郎・野間信幸・三木直大・垂水千恵・池上貞子訳、東方書店、2015年、上下二巻)、学術書ですが、その中から気になった作家の作品を読んでみるのもいいかもしれません。日本統治期に日本語で書かれた台湾人作家の作品については、中島利郎・河原功・下村作次郎・黄英哲編『日本統治期台湾文学 台湾人作家作品集』(緑蔭書房、1999年、全5冊)で主な作品を読むことができます。また翻訳作品では、様々な作家、テーマのものが翻訳出版されていますが、先住民作家の作品を集めたものでは、下村作次郎・孫大川・土田滋・ワリスノカン編『台湾原住民文学選』(草風館、2002年~2009年、現在計9冊)があります。また『台湾セクシャル・マイノリティ文学』(作品社)、『台湾熱帯文学』(人文書院)等、テーマ別のシリーズも刊行されています。動画「おうちで楽しもう台湾の博物館 第6回 国立台湾文学館」の冒頭では台湾文学簡史、続いて、台湾文学館の建築や展示などについて学ぶことができます。「台南を見ると台湾がわかる」のはなぜか?SNET台湾のYouTube番組「台湾修学旅行アカデミー 第7回 台湾Area Studies~台南篇~」(講師:大東和重)も合わせてご視聴ください。

(鳳気至純平)

ウェブサイト
公式https://www.nmtl.gov.tw/ 台南旅遊網(台南市政府観光旅遊局)https://www.twtainan.net/ja/attractions/detail/4808
所在地
台南市中西区中正路1号