衛武營國家藝術文化中心

衛武営国家文化芸術センターは、歌劇院、戯劇院、音楽庁、表演庁の４つの室内ホールと2万人以上収容可能な野外劇場で構成されています。4つのホールが１つの屋根で繋がっている点で大変珍しい建築デザインです。この建物を設計したオランダ人建築家のフランシーヌ・ホウベン（Francine Houben）は、台湾の人々がカジュマルの木の下でよく涼をとることに着想を得て、芸術も生活に溶け込むような存在であってほしいという思いで、カジュマルをモチーフにしました。また、港湾都市で造船業が盛んな高雄市らしい要素もデザインに取り入れました。エイや波のような流動的な外観に、造船技術を生かし2300枚の鉄板を貼り合わせた貨物船のような建物の壁面が特徴的です。

「衛武営国家文化芸術センター」の誕生について市民活動「南方緑色革命」に言及しなければなりません。戦後、中華民国政府が接収したこの場所（面積約66ヘクタール）は、新兵訓練所として使われていました。1979年、基地の移転を決めた際に、土地利用について住宅、商業施設か大学にするかなどの議論が白熱しました。80－90年代の高雄市は、台湾一の重工業都市として知られ、環境汚染、大気汚染など産業による公害問題が相次いで発生しました。そこで、都市の肺とも言える空間を求める人々が立ち上がり、「衛武営都会公園促進会」を組織し「南方緑色革命」を起こしました。地道な市民活動を続けた結果、2003年1月に公園化が決定し、同年に新十大建設の１つとして公園の中に台湾南部初の国立ホールを設置することが発表されました。