マンゴーの花(李佩儒氏提供)
マンゴーの育成過程を体験的に学べる(李佩儒氏提供)
枋山休閒農場 MANGO HOUSE
枋山休閒農場 MANGO HOUSE
台湾を代表する果物、マンゴーはどうつくられるかを農場で体験!
枋山休閒農場 MANGO HOUSE(枋山レジャー農場 マンゴーハウス)は、マンゴーの名産地として知られる屏東県枋山にある観光果樹園です。台湾鉄道最南端の秘境駅として知られる枋山駅から徒歩10分ほどの場所にあります。農場は約2ヘクタール、サッカーフィールド3面弱くらいの広さです。マンゴーだけでなくライチや龍眼などの熱帯フルーツも栽培されているほか、敷地内にはクウリゼン、ゾウガシ、キバンバ、オウレンモク、台湾海棗など、台湾南部特有の40種類以上の樹木が植栽されています。台湾の主要な商品作物のひとつであるマンゴーの成長過程とともに、農家の苦労を学ぶことができます。また農場の運営元はマンゴーの加工食品も製造しており、売店で販売されているドライマンゴーやアイスクリームなどを通じて農産品の加工に触れることもできます。
学びのポイント
果実の宝庫、台湾でも人気のマンゴー
台湾は豊富な雨量や温暖な気候であるとともに高山もあることから、熱帯から温帯までの果物を幅広く栽培でき、果実の宝庫とされています。農場ではマンゴー以外にも幅広い作物が栽培されており、果実の宝庫を実感できるでしょう。日本の農業生産額に占める果実の割合は約1割で、果物農家は少ない形態です。これに対し台湾は果物の生産が盛んで、農業生産額に占める果実の割合は4割前後です。マンゴーは果実栽培の主要な作物であり、台湾の一般的な農業や農家を知る参考になります。台湾では果物の消費量も多く、日本人の年間果実消費量が約35㎏であるのに対し、台湾人の年間果実消費量は100㎏を超えています。収穫時期に農園を訪れると、収穫前のマンゴーがひとつひとつ紙袋に包まれて保護されている光景を見ることができ、マンゴー育成の過程や作業内容がわかります。主な栽培品種はアップル(愛文)マンゴーで、宮崎県などで栽培されているものと同じです。
農業の実態を理解する
農場内にはマンゴーやマンゴーの加工食品を販売する売店もあります。観光果樹園なので当然と思うかもしれませんが、そもそも農家が観光に携わったり、加工食品を手掛けたりするのはなぜでしょうか。農業は天候によって収穫量が左右され、卸売時の価格によって収益が変わるなど不安定な要素があります。また働き手不足や後継者不足の問題なども指摘されています。いかに収益を安定させ、多くの人に農業に関心をもってもらうかに苦心しているのです。観光化や直販、加工による販売先の多角化は農家の経営努力や課題への対応なのです。農作物の育成過程や栽培方法だけでなく、訪れた場所や売られている製品に目を向けてその背景を考えることで、より理解が深まることでしょう。
売店にはドライマンゴーなどの加工品も(李佩儒氏提供)
さらに学びを深めよう
- 【事前学習】スーパーなど近くの小売店で台湾産の農作物を探したり、台湾の農林水産業の状況を調べたりしてみましょう。
- 【現地体験学習】マンゴーの生育過程や農家の仕事を学び、農業への理解を深めましょう。
- 【事後学習】日本の農業と比較して類似点や相違点、特徴をまとめましょう。
参考資料
農林水産省や日本の政策研究機関、農林水産政策研究所のサイトでは、適宜台湾の農業に関する統計や動向についての解説論考が更新・掲載されています。サイト内検索などを用いて古いものから最新のものまで探してみましょう。果実を含む台湾から日本への食材輸出に関しては、國府俊一郎「台湾食材(パイナップルなど)と日台中関係」(『臺灣書旅~台湾の食文化を知るためのブックガイド~』SNET台湾、2024年)があります。
- ウェブサイト
- 公式
https://www.mangohouse.com.tw/mangohouse/index.php?action=index
(中国語)
- 所在地
- 屏東県枋山郷国中路3号
- 特記事項
- 台湾南部のマンゴー収穫時期はおおよそ5月下旬から7月上旬です。気候によって変化するので、収獲時を見たい場合は施設に確認してください。
