安達信裕提供

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國立科學工藝博物館

国立科学工芸博物館

子どもから大人まで科学技術を楽しめる博物館

国立科学工芸博物館は、「すべての人を科学者に」のキャッチフレーズのように、楽しいゲームや体験を通じて、科学技術のおもしろさが実感できる博物館です。3歳の子どもから大人まで楽しめ、年間200万人以上(2019年度)が訪れる人気スポットです。
この博物館は収集、研究、展示、教育、レクリエーションなどを行う総合科学博物館です。常設展には、台湾工業の発展史や台湾農業の発達史といった展示から、調理や衣類など生活に密接した展示や、地震体験や工業用ロボットの操作体験などの体験型の展示まであります。そのほか、校外学習のための授業プログラムや生涯学習のための講演なども実施されています。

学びのポイント

地球温暖化対策のための環境教育

台湾は省エネを推進し、脱炭素社会に向けて風力発電や太陽光発電を増やすなど、地球温暖化対策に取り組んでいます。環境教育にも力を入れており、この博物館にも、環境教育に関する展示があります。気候変動を紹介した展示や2009年の大型台風による水害(八八水害)の展示などで、台湾で環境問題がどのように教育されているのか見てみましょう。南館そばにある省エネ設備を紹介する「楽活節能屋(省エネモデルハウス)」も興味深いはずです。電灯や冷蔵庫といった日本と同じ省エネ家電の紹介の他にも遮光カーテンや太陽熱温水器の利用など、熱帯気候の高雄に合った省エネ設備が紹介されています。

台湾の工業史

現在、台湾の半導体産業は台湾経済を支える大黒柱となっています。台湾の半導体産業は日本とも深い関係があります。例えば、半導体生産で世界最大手のTSMCは、熊本県に工場を建設しています。台湾で工業がどのように発展してきたのか、北館6階にある常設展「台湾工業史蹟館(台湾工業歴史館)」を中心に考えてみましょう。
さらに、工業4.0(インダストリー4.0)と呼ばれる新たな産業革命、具体的にはスマート工場やスマート農業といったロボット、AI、IoTなど先端技術を活用した新しい産業への取り組みが、「智慧智造体験専区(スマートマニュファクチャリング体験エリア)」や「台湾農業的故事展示廳(台湾農業物語展示ホール)」などで紹介されています。こうした最先端の取り組みを確認してみましょう。
さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】台湾のエネルギー政策について調べてみましょう。台湾は、日本と同様に、エネルギー資源に乏しいという特徴があります。日本は原発の再稼働を決定しましたが、台湾は2025年に原発を完全停止し、2050年を目標に脱炭素社会を実現しようとしています。原発稼働について異なる判断を下した日本と台湾のエネルギー政策を比較してみましょう。
  • 【事前学習】【現地体験学習】2009年の大型台風による水害(八八水害)、および八八水害が教育や社会に与えた影響について調べてみましょう。
  • 【事前学習】【現地体験学習】台湾では、環境政策の一環として、電動バイクやシェアサイクルの普及が進められています。シェアサイクルは、登録さえすれば、外国人観光客でも簡単に利用できます。台湾でシェアサイクルを利用してみましょう。
参考資料
台湾のエネルギー政策については、柏瀬あすか「台湾の脱炭素に向けたロードマップを読み解く―2050年カーボンニュートラルに向け、具体的な方針を発表」がわかりやすいでしょう。また、さらに詳しく知りたい方は、アジア経済研究所のホームページに掲載されている鄭方婷「(世界を見る眼)サステナ台湾――環境・エネルギー政策の理想と現実――(全8回)」を読むと台湾のエネルギー政策の問題点がわかると思います。  シェアサイクルの使い方に関しては、台湾の交通部観光局サイトの公共自転車のページに詳しく紹介されています。

(安達信裕)

ウェブサイト
公式 https://www.nstm.gov.tw/index.aspx(中国語)
https://www.nstm.gov.tw/English/(英語)
所在地
北館:高雄市三民區九如一路 720 號
南館:高雄市三民區九如一路 797 號
20名以上の団体の場合、中国語・台湾語・英語によるガイドを予約することができます。英語によるガイドを希望する場合は、7日前までに予約が必要です。