建物の入り口(鳳気至純平提供)

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萬國通路創意觀光工廠

万国通路創意観光工廠

知られざる世界的台湾スーツケースブランドの秘密を探る

万国通路創意観光工廠は国際的なスーツケース生産企業である「万国通路」が運営するスーツケースをテーマとする博物館で、2019年、台南市帰仁区の台湾新幹線台南駅の近くに、本社社屋と工場に隣接して建てられました。同社は1979年に創業、世界的な有名ブランドのODM生産を受託するほか、自社ブランドeminentは日本を含むアジア各国、欧米、中東など、世界100か国以上で販売されています。
博物館は二階建てで、同社の沿革、スーツケースの製造過程、またSDGsへの取り組みなどが紹介されています。また、多彩なデジタルインタラクティブやオリジナルデザインのスーツケースが作れるDIYコーナー(有料)もあります。新型コロナ感染症の流行期を除けば、毎月10万人が訪れる人気スポットです。

学びのポイント

スーツケースの製造過程、歴史を学ぼう

館内には自社製品が展示され、同社の製品の変遷を知ることができます。製造ラインを紹介するエリアでは、耐重テスト、ファスナーやキャスターの耐久テストなどから、品質に対するこだわりがよくわかります。またSDGsに対する取り組みも見逃せません。軽くて丈夫、さらにエコな材質の研究を進めており、近年開発されたTPOはリサイクル可能な素材として世界的にも注目されています。
また映像資料によって会社の歴史を学べるほか、スーツケースがどのように誕生したのかもビデオで紹介されています。皆さんが日常よく目にするキャスター付きの縦型スーツケースが、意外にも近年の発明品であることがわかるでしょう。いつ発明されたかの答えはぜひ館内で確かめてみましょう。

館内入り口(鳳気至純平提供)

館内にはスーツケース型のごみ箱もある(鳳気至純平提供)

どうして本社が台南に? どうしてスーツケースの博物館?

では、どうしてこのような世界的企業が台南にあるのでしょうか? 実は2010年代前半まで万国通路の製品は主に中国の工場で生産されていた、いわゆる「台商」でした。しかし、地方政府からの要請もあり、2013年に同社創業の地でもある台南に工場を移すことを決意したのです。工場の移転(「鮭魚返郷」=「鮭の溯上」と呼ばれました)により、2000人もの新たな雇用を生んだといわれています。
創業者の謝明振によれば、参考にしたのはアメリカのコカ・コーラ博物館、ドイツ・ケルンのチョコレート博物館で、展示を通じて、スーツケースなど同社の製品への理解を深めてほしいとのことです。

外観(鳳気至純平提供)

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】身近にある台湾製の製品、商品を探してみましょう。
  • 【現地体験学習】館内には体験型のデジタルインタラクティブが設置されています。ゲーム形式で企業への理解を深めましょう。
  • 【事後学習】日本と台湾の企業の製品に特化した博物館について調べ、日本と台湾の得意とするものづくりを比較してみましょう。
参考資料
台湾のものづくり、ODM、OEMについては、台湾修学旅行アカデミー by SNET台湾 第5回 台湾の経済 川上桃子(アジア経済研究所)を見てみましょう。
スーツケースの品質管理については、エースラゲージ株式会社 北海道赤平工場の動画「A.T.I エース品質管理研究所 - 品質を証明する『音』」が参考になります。

(鳳気至純平)

ウェブサイト
公式 https://eminent-tw.com/japanese.php (日本語)
所在地
台南市帰仁区中正南路二段1号
観覧無料・木曜日休館
20名以上の場合は要予約。