嘉義舊監獄 嘉義旧刑務所

監獄の歴史だけじゃない、外にも広がる生きた博物館

渡邉義孝撮影

嘉義舊監獄は、日本統治時代の1921年に建てられた刑務所で、1994年まで使われていました。修復工事を終えて2011年に獄政資料館としてオープンし、獄舎、病舎、工場、看守所などが往時のままの姿で保存されています。 中心にあたる看守棟から、煉瓦造の囚人房を見通す通路が放射状に3本伸びている配置は、パノプティコンと呼ばれ、日本の網走刑務所や奈良少年刑務所にも採用されています。 道路を隔てて南側に広がる一角には、刑務所職員の官舎だった木造平屋(一階建てのこと)の住宅が約90戸建ち並んでいます。「宿舎群」と呼ばれるエリアです。ここは多くが空き家になり荒れ果てていましたが、2015年から南華大学の陳正哲教授らが嘉義市ととともに再生の計画を立て、空き家再生事業がスタートしました。外観はそのまま、内部は大胆にリフォームする。その際に、嘉義の主要産業だった林業をテーマとし、木工のワークショップができるアトリエなどが次々と生まれています。

学びのポイント

どうしてこの刑務所は貴重なの?

どんな施設、インフラ、工場なども、建物ひとつだけで成り立つものではありません。さまざまな用途の建築が結びついて機能を果たします。刑務所も同じこと。ここには、日本統治時代の刑務所の施設群が、全体として欠けることなく残っている、そのことがたいへん貴重なことなのです。構造も注目してほしいポイントで、多くの建物は壁を煉瓦で積み、その上に木造の屋根を架けています。屋根の骨組みは三角形を基本形とするトラス構造。林業都市としての豊富な材料、大工さんの手仕事、そして構造力学の叡知をそこに見ることが出来るのです。

木造宿舎群の建物の特徴は?

日本では珍しくない木造住宅。実はそれ自体が台湾では貴重な存在なのです。高温多雨でシロアリの被害も大きい台湾では、昔から煉瓦で造る家が多く、壁も柱も木で造る建築様式は日本統治時代に普及したものでした。和風瓦の屋根、高い床、引違い窓、畳と床の間、そして雨淋板(ウーリンバン/杉板を斜めに重ねて張った外壁)などのデザインが、日式住宅の特徴です。

渡邉義孝撮影

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】日本及び海外の博物館化された刑務所について調べてみましょう。
  2. 【事前学習】【事後学習】宿舎群の再生では「以修代租」というキーワードがあります。その意味を考えましょう。
  3. 【現地体験学習】南側の宿舎群は、嘉義の伝統産業である林業と関連した用途での再生が図られています。実際に見学して、具体的にどう使われているのか、ワークショップの内容などを調べましょう。

参考資料

独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所保存科学研究センター近代文化遺産研究室編『台湾における近代化遺産活用の最前線』(独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所、2020年)が多数の参考例を紹介しています。

(渡邉義孝)

ウェブサイト
公式http://prisonmuseum.moj.gov.tw/
嘉義市觀光旅遊網(嘉義市政府)https://travel.chiayi.gov.tw/travel-content?id=16&lang=jp
所在地
嘉義市維新路140号
特記事項
監獄内部の見学はガイド付きで時間指定。催行時間を確認すること。