左鎮化石園区提供

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左鎮化石園區

左鎮化石園区(考古学・博物館)

台湾で発見された化石を通して生物の進化や人類の歴史を考える

左鎮は台南市の山間部に位置しており、平埔族の一つであるシラヤ族の住民比率が高かった地域です。この地を流れる菜寮渓沿いでは1970年代に「左鎮人」の化石が発見されるなど、多くの化石が見つかったことで知られています。そこで、地元の小学校に郷土文物館が設けられ、発見された化石も収蔵されました。これを発展させる形で1981年に菜寮化石館が設立され、公務員をしながら化石収集や郷土史研究に尽力してきた陳春木が館長となりました。彼は1931年に台北帝国大学教授・早坂一郎(古生物学・地質学)の調査を手伝ったのをきっかけに化石収集を始め、「化石おじさん」と呼ばれていました。菜寮化石館は、自然史博物館としての機能を拡充させて建て直され、2019年に左鎮化石園区となりました。

学びのポイント

どのような化石が見つかったか?

近くを流れる菜寮渓沿いの断層からたくさんの化石が見つかっていますが、一番有名なのは「左鎮人」の化石です。1970年頃、アマチュア化石収集家によって最初に発見されましたが、その後の台湾大学と台湾博物館の精査によって旧石器時代、およそ2万~3万年前の人骨であることが確認されました。他にも数十万年前のサイの化石も発見され、その存在を予想していた早坂一郎にちなんで「早坂犀牛」(早坂サイ)と名付けられました。

左鎮化石園区にはどのような展示がある?

「化石館」では台湾で発見された化石の特色を踏まえ、古生物の世界を解説しています。とりわけ早坂犀牛の全身骨格模型は壮観です。「生命演化館」は数十億年にわたる生命進化の歴史をテーマとしています。「自然史教育館」では近隣の丘陵の断層を模した壁面から化石の生成過程がわかるようになっています。「故事館」のテーマは左鎮の郷土史です。シラヤ族の伝統文化を説明するほか、陳春木をはじめ化石収集や郷土史研究に貢献した人々を紹介しています。

左鎮化石園区提供

シラヤ族とは?

台湾にはオーストロネシア系の先住民族(中国語では原住民族)が暮らしていました。その中の平埔族の多くは漢民族との同化が進んでいます。左鎮にいたのは平埔族の一つであるシラヤ族です。彼らの一部はオランダ統治時代にキリスト教を受容しましたが、鄭氏政権、清朝統治時代と続くうちにすたれました。ところが、19世紀からのイギリス人宣教師の布教により左鎮一帯にはキリスト教が再び広まり、100年以上の歴史を持つ教会もあります。他方で、キリスト教伝来以前のシラヤ文化の痕跡も残っています。例えば、化石園区近くの復興宮では壷が祀られており、これはシラヤ族の信仰活動に特有の慣習です。
さらに学びを深めよう
  • 【現地体験学習】左鎮化石園区の展示から、台湾にどんな動物がいたのか調べてみましょう。 日本と比べて違いを確認しましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】日本と台湾の地質年代を調べ、比べてみましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】台湾にはどのような先住民族がいますか? 日本と比べながら考えてみましょう。
参考資料
先史時代の台湾や先住民族については周婉窈(濱島敦俊他訳)『図説 台湾の歴史』(増補版、平凡社、2013年)の「第2章 先史時代の台湾」「第3章 先住民とオーストロネシア語族」をご覧ください。シラヤ族については日本順益台湾原住民研究会編『台湾原住民研究概覧 日本からの視点』(縮刷版、風響社、2005年)所収の清水純「平埔族 シラヤ(西拉雅族)」や大東和重『台湾の歴史と文化』(中公新書、2020年)「第二章 平地先住民族の失われた声──平埔族とオランダ統治」が参考になります。

(黒羽夏彦)

ウェブサイト
公式https://fossil.tnc.gov.tw/index.php

(中国語・英語)


台南旅遊網(台南市政府観光旅遊局)https://www.twtainan.net/ja/attractions/detail/4927
所在地
台南市左鎮区栄和里61-1号