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墾丁國家公園

墾丁国家公園

台湾随一のリゾート地で熱帯の自然に触れる

墾丁国家公園は台湾南部の屏東県、その最南端にある恒春半島に位置しています。1984年、台湾で最初に指定された国家公園(国立公園に当たる)であり、陸地1万8084ha、沿岸の周辺海域1万5185ha、合計3万3269haという広大な面積を有しています。熱帯性気候区に属し、「恒春」の文字の通り一年中温暖な気候で、台湾随一のリゾート地として知られています。半島の三方には東から太平洋、バシー海峡、台湾海峡の美しい海が広がり、サンゴ礁など生態系も豊かでマリンスポーツが盛んです。陸地エリアにも様々な野生動物が暮らしており、公園全体が巨大な動物園、博物館のようです。こうした豊かな自然に恵まれる一方で、公園内には台湾電力第三原子力発電所があります。

学びのポイント

墾丁の人気の秘密は?

リゾート地としての墾丁の魅力は、何といってもその生態系の豊かさにあります。カルスト地形の海岸には船帆石、猫鼻頭といったサンゴ岩が並び、半島のあちこちに美しい砂浜が点在、シュノーケリング、スキューバダイビングに絶好なポイントがいくつかあり、南国特有の熱帯魚やサンゴ礁を間近に見ることができます。海を離れて高台へ向かうと、石灰岩が侵食されてできた洞窟や断崖が続き、その背景には太平洋が広がります。夜の光害が少ないため、満天の星空を眺めることができます。台湾固有亜種で一時は絶滅の危機に瀕した「梅花鹿」や陸ガニなどの観察もできます。南国台湾の中でも墾丁でしか見られない自然の数々を体験してみましょう。

水族館で生態観察

国立海洋生物博物館(通称「海生館」)は、公園内にある台湾有数の水族館です。海洋生物の展示やイルカショーが見学できるほか、台湾の山間部の河川など各地の生態系についても学ぶことができます。

リゾート地の光と影

自然豊かで、都会からのアクセスも便利なので、国内外からの観光客でにぎわう墾丁ですが、その一方で、過度の観光開発による自然破壊も大きな問題になっています。マリンスポーツ、ゴミのポイ捨てによるビーチや海の汚染、また国道開通によって、長い年月をかけて形成されてきた美しい景観が破壊され、車、バイクなどの光害が生態系にも悪影響を及ぼしています。そしておそらく世界的にも稀なことに、国立公園でありながら、公園内で台湾電力第三原子力発電所が稼働しており、美しい砂浜からもその異様な光景が目に飛び込んできます。原発からの排水によって海水温が上昇、サンゴの白化現象も深刻な問題となっています。
さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【現地体験学習】墾丁固有の動植物について調べてみましょう。
  • 【事後学習】海洋汚染を防ぐためにできる取り組みを調べてみましょう。
  • 【事後学習】なぜ国家公園に原発が作つくられることになったのか、その経緯について調べてみましょう。
参考資料
墾丁国家公園の官吏については、曽宇良 , 飯田繁「自然公園におけるレクリエーションインパクトの評価と管理対策に関する研究 : 墾丁国家公園を事例に」テ『九州大学農学部演習林報告』86号、2005年 を読んでみましょう。台湾の国立公園については、蕭閎偉, 田中俊徳「台湾における国立公園行政の特徴と国立公園の運営実態に対する評価」『ランドスケープ研究』13巻、2020年を読むと全体像を知ることができます。魏徳聖監督の映画『海角七号』(2008)は、墾丁と恒春がロケ地となっています。

(鳳気至純平)

ウェブサイト
交通部観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003122&id=421
所在地
屏東県恒春鎮墾丁路596号