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花園夜市

台南花園夜市

屋台のみ!木・土・日曜日のみ開催される台湾最大の流動夜市

歴史ある古都台南には、台湾北部とは異なった形式で開催される花園夜市という夜市があります。この夜市の最大の特色は常設式の店舗がないことで、このような形式の夜市を流動夜市と呼びます。毎週木・土・日曜日の夜には、普段は何もない空き地に400もの屋台が集結して夜市を形成し、大勢の人々で賑わいます。現在は地元の人々にとても愛されている夜市ですが、その歴史は比較的新しく、1999年に付近の地主であった王進福・王建成兄弟が自身の所有していた土地で「鄭子寮花園夜市」という夜市を開催したのが由来です。後にその他のオーナーも加わって夜市管理委員会を結成、開設4か月後には、台南でもっとも有名な夜市の一つとなりました。土地利用の契約の関係で、2005年に元々の開催場所から現在の場所へと移動しましたが、台湾のテレビ局であるTVBSのグルメ番組「食尚玩家」が2008年にインターネット上で実施した「十大夜市」投票で第一位を獲得したことからも、変わらぬ花園夜市の人気の高さが伺えます。

学びのポイント

屋台式営業が生み出す新奇性

一般に屋台は、常設型の店舗と比較して、土地代や設備投資がそれほど必要ないことから、少ない初期費用で開業できます。花園夜市でも、新しいアイデアや構想を持った若い商売人が参入しやすく、積極的に夜市に参加しています。新しい店舗は知名度が低いうえに、広告を打つ資金力もありませんが、花園夜市自体の知名度が高いため、たくさんの客が店に訪れる機会が得られます。商品の質さえ良ければ、知名度が低い店舗や商品でも、平等な条件で腕試しができる環境が整っているのです。花園夜市は大きくはB級グルメ、服飾品、雑貨、ゲーム・娯楽の4区画に分かれていますが、この営業形式のどのジャンルも最新の流行を取り入れやすい環境であると言えるでしょう。ぜひ夜市の現場で今の台南の流行を感じてみましょう。

巨大な駐車場によって屋台は台南を巡る

花園夜市は週に3日しか開催されていませんが、開催日以外の時、屋台はどうしているのでしょうか。答えは「台南の他の地域で開催されている夜市に出店している」です。台南市には、花園夜市以外にもたくさんの夜市があり、花園夜市の人気店舗の多くは開催日以外の夜は他の夜市に出店しています。花園夜市のある場所は主要な公共交通機関からは離れていますが、街の中心部から外れた場所にあるおかげで、夜市の開催場所として広大な土地が確保されます。さらに公園を建設予定の台南市の土地を借りて夜市用の駐車場に当てているため、膨大なバイクや車を受け入れられ、また他の開催場所への店舗の移動の際に車両を利用しやすい環境が整っています。現地で花園夜市の駐車場を見て、台湾のバイク社会を実感してみてください。
さらに学びを深めよう
  • 【現地体験学習】花園夜市にはどんな屋台が出ていましたか。自分が買ったものや体験したことなどをまとめて他の人と共有しましょう。
  • 【事前学習】花園夜市は北部の観光夜市とは異なる方式(個人の土地を借りる、流動夜市)で運営される珍しい夜市ですが、花園夜市の成功以降、各地に花園夜市の管理方式を採用した夜市が生まれ、これらの夜市も「花園夜市」という呼称を用いています。新北市、桃園市にどんな花園夜市があるか調べてみましょう。
  • 【現地学習・事後学習】多くの台湾人はバイクで夜市にやってきます。現地の街並みや交通状況を見てなぜバイクが用いられやすいのかを考え、台湾人のバイク所有状況について調べてみましょう。
参考資料
夜市についての専門的に知りたい方は、藤岡達磨「想像の共同体の現実化の場所としての夜市 : 社会的余暇活動による経験の共有に注目して」 (『社会学雑誌』第33号、2017年)を読んでみましょう。台南について、大東和重『台湾の歴史と文化-六つの時代が織りなす「美麗島」』(中公新書、2020年)を読んでみましょう。さらに、SNET台湾のYouTube番組「台湾修学旅行アカデミー 第7回 台湾Area Studies~台南篇~」(講師:大東和重)も合わせてご視聴ください。

(藤岡達磨)

ウェブサイト
台南市政府観光旅遊局 台南旅遊網 https://www.twtainan.net/ja/attractions/detail/5574
所在地
台南市北区海安路三段533号