鹽水八角樓 塩水八角楼

郊外の小さな町で感じる、昔の台湾の空気

大東和重撮影

台南市は台湾の歴史の発祥の地で、市内にはところ狭しと名所旧跡があります。しかし、郊外の小さな町も、表情豊かなことではそれに劣りません。昔の台湾の雰囲気を味わいたければ、ぜひ台南市北部の小都市、塩水をたずねてください。メインストリートの中山路と中正路の交差するあたりに、古い木造建築、「八角楼」が建っています。ここを起点に、二階建ての洋風建築の並ぶ大通りや、迷路のような路地を歩みましょう。小さな町なので、1時間もあれば十分。古びたたたずまいの町を散歩すれば、昔の台湾へとタイムスリップした感覚を味わえることでしょう。

学びのポイント

昔の台湾を知りたければ、郊外の小さな町へ

塩水の中山路や中正路を歩くと、道の両側に並ぶ洋風建築が目に入ります。複雑な装飾を施した二階建て建築は、戦前の建物が多く、独特の風格があります。塩水はもともと水運で発達した町で、南には「月津港」のあとがあります。ここから、曲がりくねる石畳の道を歩めば、道教の神様を祀った廟があったり、古い民家やひなびた店があったりで、大都市の台北などとは全く異なる世界が展開します。

八角楼に生まれた葉盛吉

町の中心にある「八角楼」は、1847年に建てられた木造建築です。塩水の金持ち、葉家の邸宅で、古びてはいますが堂々たる建築で、中を見学できます。また、葉家に生まれた葉盛吉の伝記、『ある台湾知識人の悲劇』を読んでから訪れると、感慨はいっそう深まるでしょう。地元や台南で日本語の教育を受け、太平洋戦争中には仙台に留学し、戦後台湾の複雑な政治状況の中で、若くして非業の死を遂げました。数奇な人生の出発点が、葉盛吉の祖父が建てた、この八角楼なのです。

爆竹の祭りがなくても

塩水といえば、旧暦一月十五日(「元宵節」といいます)に行われる、大量のロケット花火や爆竹を用いた派手な祭りで有名です。「関羽」という神様を祀った、ふだんは静かな「関帝廟」の前が、見物人であふれかえります。とはいえ、にぎやかなお祭りなどなくても、塩水には歴史ある町並みが残り、名物料理を提供する店があります。生卵をのせた名物かき氷の店や、「意麵」という、即席麵のもとになったといわれる麵の店は、いつも人でいっぱいです。

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】googleマップなどを使って、塩水の町中にある廟や古い建築を記入した地図を作ってみましょう。
  2. 【事前学習】【事後学習】葉盛吉の人生について、伝記を読んで調べてみましょう。
  3. 【現地体験学習】自分が作った地図をもとに、台湾の小さな町を歩き、古い建築や廟、市場を訪ねてみましょう。

参考資料

台湾の南部を知るためには、まず大東和重『台湾の歴史と文化―六つの時代が織りなす「美麗島」』を手に取ってみてください。清朝統治期の台湾の町がどのように造られているかを紹介した、郭中端・堀込憲二『中国人の街づくり』(相模書房、1980年)を読んでから町を歩くと、見えるものが違ってくるでしょう。塩水に生まれた葉盛吉については、親友だった楊威理の書いた伝記、『ある台湾知識人の悲劇―中国と日本のはざまで葉盛吉伝』(岩波書店、1993年)を読んでください。青春時代の日記も収めたこの伝記は、台湾という土地や台湾人を知るよいきっかけになります。

(大東和重)

ウェブサイト
台南旅遊網(台南市政府観光旅遊局)
https://www.twtainan.net/zh-tw/attractions/detail/490
所在地
台南市塩水区中山路4巷1号