永吉美幸撮影

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台北國際藝術村

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台北国際芸術村

台北のアートを世界へ発信する窓口

台北国際芸術村(Taipei Artist Village)は、台北の中心地に位置しています。2001年10月に台北市政府の芸術振興プロジェクトにより「台北国際芸術12村」という名称で発足しました。空き家となった台北捷運MRTの旧オフィスをアートコロニーにリノベーション(改修)、ニューヨーク、パリ、ロンドンなどが設立して運営する事例を参考にしながら、台北を代表する芸術村を設立しています。4階建ての建築物の1階は展示スペース、2階以上にアーティストのアトリエなどを構えています。芸術村全体がクリエイティブなアート空間ですが、現在は30カ国以上のアートビレッジの相互交流促進と、台湾と海外における芸術文化、芸術教育交流の牽引役として、各地域の多彩な文化を支え、国際交流に貢献しています。

学びのポイント

Official髭男dism「Pretender」MVのロケ地?

「Pretender」MVに出てくる「東方電影院」のネオンの向こうに見える台北駅に気付いた方もいるかもしれません。「電影」とは中国語で映画という意味ですが、台北駅の近くに「東方電影院」という映画館はありません。この場所は台北国際芸術村の屋上です。台北国際芸術村には、世界各国からアーティストたちを招聘するプログラムがあり、アーティストたちはここに暮らしながら作品を創ります。日本からも多数招かれています。この屋上はアーティストたちの交流の場としても使われているそうですが、残念ながら一般客には開放されていないようです。

アートと政治の関係性は?

近年、日本でもアートと政治との関係性が注目を集めています。台湾では、ひまわり学生運動(2014年に「サービス貿易協定」の強行採決に反対した学生たちが立法院〈日本の国会議事堂に当たる〉に突入して占拠した事件)にも、たくさんのアーティストやデザイナーたちが関わりました。また、2016年の総統選挙では、聶永真(アーロン・ニエ、1977-)が蔡英文のロゴ作成を担当しています。許家維(シュウ・ジャウェイ、1983-)が、従来の歴史からは読み取れない複雑な物語を映像として描き出した作品は、2018-2019年に日本の森美術館でも上映されました。台湾のアーティストたちは、さまざまな形で政治や歴史を表現し、社会を変え続けています。

台北のもう一つのアートビレッジ?

台北国際芸術村を運営する台北市文化基金により、2010年、台北市に二つ目の芸術村である宝蔵厳国際芸術村がオープンしました。こちらは一棟の建物ではく、複雑で個性的ないくつかの建築が保存された集落で、MRT公館駅から徒歩15分ほどの小高い丘の上にあります(台北市汀州路三段230巷14弄2号)。一般住民とアーティストの住居に加え、アトリエ、ギャラリー、カフェなどもあり、住民に迷惑をかけないように配慮する必要がありますが、見学することもできます。またアーティストなら短期滞在を申請することも可能です。

弘川有希絵提供

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】日本や台湾におけるアートビレッジやアトリエについて調べてみましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】アーティスト・イン・レジデンス事業について調べてみましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】台北国際芸術村の近年アート展を中心に日本人アーティストの作品を調べてみよう。
参考資料
台湾の近現代アートについては、栖来ひかり「台湾現代美術のいま―クロスオーバーする台湾現代美術──歴史と記憶、社会へのまなざし」『美術手帖』、周婉窈著、濱島敦俊監修・翻訳『増補版 図説 台湾の歴史』(平凡社、2013年)の第11章「台湾人の芸術世界」を読んでみましょう。

(林承緯)

ウェブサイト
公式https://www.artistvillage.org/ 台北旅遊網(台北市政府観光伝播局)https://www.travel.taipei/ja/attraction/details/807
所在地
台北市北平東路7号