003年に台北で初めてパレードが開催された時、参加者はわずか2000名あまりでしたが、2019年には5月に同性婚が認められたこともあり、約20万人の参加となりました。このような短期間での急激な増加を可能にしたのは、同志団体の粘り強い活動は言うまでもなく、国・地方自治体の取り組み、法の整備、教育・医療・福祉現場・企業での取り組み、メディアの報道、学術研究成果の発表・出版、大学サークルの活動、文化的サポート(文学、映画、TV、音楽、美術、ファッション、サブカルチャー)など、同志をサポートする全方位的な動きが推進されてきた結果、人々の意識が大きく変わったからでしょう。現在では異性愛者の参加も多く、小さな子供を連れた若い夫婦も目立ちます。同志の子供を持つ親たちのグループもいます。また、毎年パレードの先頭を堂々と行くのは、車椅子に乗った障害者の同志グループです。
橋本恭子撮影
性的マイノリティのためのパレードですが、他の人権テーマについても関心が払われていることが大きな特徴です。それは、台湾の同志運動が民主化運動の一環としての人権運動 として発展してきたからでしょう。台湾では、日本統治時代や戦後の白色テロの経験を通して、人権は主体的な行動を通して獲得するものと認識されています。同志運動も例外でなく、人権を求める社会運動として発展してきました。その過程で、他の社会運動との連帯が生まれ、毎年、パレードには先住民族の自治運動、移民労働者運動、労働運動、環境保護運動、反原発運動、障碍者運動、動物愛護運動などの関係者も参加し、同志を支援する力強いメッセージを発信しています。台湾プライドパレードは、単なる「お祭り」ではなく、一年に一度、個人的な性の課題は社会的な課題であると認識した上で、複数の問題系を貫く人権意識を共有し、確認する日でもあるのです。