綠色公民行動聯盟
緑色公民行動連盟
政治を動かす若者たち
緑色公民行動連盟(GCAA)の「緑色公民」は、環境意識のある市民(citizen)を意味する言葉です。この団体は、台湾環境保護連盟台北支部にいた若者により、2000年に設立された環境NGOで、「犠牲になる/なった人々や環境」を守ることを目標として、原発、ゴミ焼却施設、淡水河汚染など、台湾で発生した環境問題を中心に活動を続けてきました。そのなかで、特に重点的に行ってきたのは、第四原発反対運動です。日本で起きた福島第一原発事故をきっかけに、GCAAは原発の安全性に疑念をもつ市民をまとめ、衰退していた運動を再燃させ、第四原発の凍結を勝ち取りました。台湾の若者たちが政治をどう受け止め、またどのようにかかわっているのかを知るよい場所です。
学びのポイント
NGOは何をするところですか? 会社と違うのですか?
NGOは非政府組織(non-governmental organizations)の略称です。これは、通常、民間が作る団体で、政府を補完するものです。台湾では、社会運動団体を指す場合は少なくありません。こういったNGOは、陳情、抗議、提言、デモといった対抗的な手段をとると同時に、行政と協働する場合もあります。簡単にいうと、現状や推定される事態に対し、不満や別のビジョンをもち、それを変えたいと思って行動する人々の集まりと理解してよいでしょう。お金を得ることが目的で仕事をしているわけではないため、会社と違って、NPO(Nonprofit Organization)ともいえます。
環境NGOスタッフの日常は?
政策提言をする環境NGOの仕事は、大きく問題を研究することと、問題の認知を対外的に広げることの両方があります。一人が二つのことに従事する時もあれば、ひとつだけに専念する場合もあります。社会運動は何もないところに、無理に引き起こせるものではありません。原発・エネルギー問題を例に挙げると、研究というのは、報道された原発の問題点をインタビューなどを含むさまざまな手段で十分に調べ、その問題が起こった理由を突き止めることです。それをもとに、問題を解決するために何を訴えればいいのかを決めた上で、どういう形でアピールするのかも構想することになります。
東アジア初の原発のない国へ?
日本に続き、韓国より少し早く原子力発電を導入、開発していた台湾では、当初、 政府は原発大国になるといった夢をもっていました。しかし、80年代から始まった第四原発反対運動に直面し、実質的に前進できなくなりました。以来30年間、新しい原発や原子炉の導入はありません。現蔡英文政権は、既存の原子炉(6基)が設計寿命に達したあと、寿命延長をしない方針をとっており、再生可能エネルギーの利用を推進しています。うまくいけば、2025年には、東アジア最初の原発のない国になります。
さらに学びを深めよう
- 【事前学習】【事後学習】日本の環境NGOについて調べてみましょう。
- 【事前学習】【事後学習】日本のエネルギー政策、原発や再生可能エネルギーについて調べてみましょう。
- 【現地体験学習】スタッフの方に環境NGOの活動に携わるようになったきっかけをきいてみましょう。
参考資料
反原発運動については、赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための60章』(明石書店、2016年)の陳威志による第28章 「社会運動と政治の駆け引きーー第四原発反対運動とヒマワリ学生運動」に詳しい紹介があります。福島原発事故以降の展開ならば、町村敬志・佐藤圭一編『脱原発をめざす市民活動』のコラム「台湾からみた福島第一原発事故」もおすすめです。
- ウェブサイト
- 公式 http://www.gcaa.org.tw
- 所在地
- 台北市中正区羅͡斯福路二段70号8楼之3
- 特記事項
- 要予約(Email: gcaa.official@gmail.com10084)