黃毓純提供

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科學園區探索館

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新竹サイエンスパーク 科学園区探索館

国家計画で創られた台湾最大のサイエンスパークで最先端技術を体感する

新竹科学園区(サイエンスパーク)は、台湾に科学技術産業を根付かせることを目的とした国家の計画経済の一環として、1980年に創設されました。東京ドーム140個分(653ヘクタール)の広大な敷地に、グローバルに活躍する台湾企業が本社や研究施設、工場を構えているほか、世界各国の先進科学企業の工場や支社も置かれています。日本人を含む外国人が数多く勤務し、付近の新興住宅街に居住しています。新竹科学園区探索館(「探索館」)は、ノートパソコンで有名な企業「Acer」の工場跡を利用して造られた資料館で、科学園区の歴史と最先端技術を利用した製品見本などを見ることができます。また、日本語でのガイドを頼めることも魅力の一つです。付近には大規模で多様な料理を提供するレストラン施設と科学園区産品の展示場を備えた科技生活館(「生活館」)があり、そこで食事を楽しむこともできます。

学びのポイント

どうして新竹市の郊外に最先端企業がこんなに集まっているのでしょうか?

新竹市には工業系の研究が盛んなことで有名な国立の清華大学と交通大学が立地しています。また、付近の竹東地区には先端技術を研究する工業技術研究院もあります。これらの研究施設で開発された新技術がスムーズに新製品の開発と生産につながるよう、竹東地区と新竹市にまたがる形で新竹科学園区(サイエンスパーク)が国家プロジェクトとして建設されたのです。

経済発展段階とそれを支える政府の役割について考えよう

戦後の台湾は、中華民国政府による4年または6年単位の経済計画によって復興と発展が図られてきました。最初は農業、1950年代からは工業が促進されました。台湾の企業人として有名な王永慶氏が台湾プラスチックという会社を発展させたのもこの頃です。1970年代は「十大建設」の掛け声のもと、重化学工業の発展が促進されましたが、大気汚染などの公害が問題になりました。そこで1980年代からはパソコンや半導体などのハイテク産業の育成が促進されました。このように、経済の発展期には政府が主導して産業発展を促進することがあります。新竹科学園区はその計画経済の一部だったというわけです。
   

次世代テクノロジーと私たちの未来を考えよう

これまでの台湾経済の発展には欧米や日本などの先進国の発展モデルがありました。だからこそ経済計画も可能だったと言っても過言ではありません。しかしこれからは、台湾自身が技術先進国の一つとして、世界経済の次の段階を模索しながら、世界をリードしていかなければなりません。新竹科学園区の技術者たちもAI(人工知能)やVR(仮想現実)、クリーンエナジーや再生医療などの最先端技術の実用化に挑戦し続けています。「探索館」や「生活館」にはそうした最先端技術を利用した試作品がいくつも置かれています。その技術に触れながら、私たちの未来について考えてみるのはどうでしょうか。
さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】新竹科学園区の成立の歴史をまとめましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】SDGs(持続可能な開発目標)について調べ、どのような先端技術がどのようにこうした目標の達成のために役立つと考えられるか、議論してみましょう。
  • 【現地体験学習】付近に立地する清華大学や交通大学を散策し、日本の学校(大学)との違いを発見しよう。
参考資料
専門書籍は朝元照雄『開発経済学と台湾の経験』(勁草書房、2004年)があり、また、新 竹サイエンスパークの日本語版ウェブサイトも参考になります。

(國府俊一郎)

ウェブサイト
公式https://web.sipa.gov.tw/explore/
所在地
新竹市東区科技五路一号
特記事項
40名以上の団体の場合、日本語ガイドが必要な場合は予約が必要です。