赤松克之提供
洪淑芬提供
士林觀光夜市
士林観光夜市
夜市なのに一日中楽しめる台湾最大級のナイトマーケット
100年の歴史を誇る、台湾最大級の夜市
士林夜市はMRT剣潭駅の近くにある台北で最大規模の夜市の一つです。清の時代に淡水河を行き来していた船の荷物がこの一帯で降ろされ市が立ちました。日本統治時代に入り、士林市場が慈誠宮前の広場で開かれ、当時としては最も近代的な市場となりました。戦後も市場として営業が続けられ、すでに100年を超える歴史を有しています。近くに大学ができて学生が集まり、夜も営業するようになり、安くて美味しい台湾小吃(B級グルメ)を売る店が増えていきました。老朽化に伴い1998年から大規模な改修工事が行われ、2011年に再開された士林夜市は、朝には生鮮食品を売る朝市、午後からは衣服や雑貨、食べ物の屋台の並ぶ夜市が開かれ、地元の人々も観光客も集まるにぎやかな場所となっています。日本統治時代から残る2棟の建物は、台北市の古跡に指定されています。学びのポイント
なぜ士林に大規模な市場がつくられたのか?
士林は淡水河支流の基隆河の船着き場に近く、船による交易の拠点のひとつでした。この地で大稲埕、萬華(艋舺、万華)等の内陸から船で運ばれてきた物や、近くでとれた農産品などの交易が盛んにおこなわれていました。やがて慈誠宮前の広場にそれらの品を集め、市場が形作られました。台湾の行政機関だった台湾総督府は衛生環境の向上のため公設市場の建設をすすめ、1913年、士林に公設市場が開かれたのです。
士林はどんな街?
士林はかつて平地の先住民族の住む土地で、清代に移住してきた漢民族が蘭を栽培したので、八芝蘭、蘭林などと呼ばれました。また淡水河支流の基隆河、外双渓があり、船
による交易の拠点のひとつとして古くから栄えていました。陽明山を有する士林には温泉やハイキングコースもあり、また国立故宮博物院や台北市立天文科学教育館、国立台
湾科学教育館などの施設も多く、観光客のみならず、台北に住む人々にとってもレジャースポットとして人気の高い街です。
夜市なのに夜だけではない?
台湾の多くの夜市では、朝になると野菜や肉を売る朝市が開かれ、朝と夜で異なる顔を見せます。 ひとつの売り場をシェアして朝と夜とで店を入れ替えているからです。朝は主婦やレストランの店主が食材を買いに訪れ、夜は学校や仕事帰りの人が夜ご飯を食べに立ち寄ったり、観光客が遊びに来たり、朝と夜とではあつかわれる商品も訪れる客層も違います。
さらに学びを深めよう
- 【事前学習】【事後学習】士林夜市の近くには、士林官邸やグランドホテル(円山
大飯店)など有名な観光スポットがあります。士林夜市と合わせて、どんな特徴があるところなのか、どんな歴史があるのか調べてみましょう。
- 【事前学習】【事後学習】台北市内に、士林以外でどんな夜市があるか調べてみましょう。
- 【現地体験学習】士林夜市と朝市を実際に見てその様子を比べてみましょう。
参考資料
台湾の飲食文化の概略を知るなら、赤松美和子、若松大祐『台湾を知るための60章』(明石書店、2016年)、屋台料理については、福永淑子「台湾独自の食文化ー屋台料理」(『家庭科教育』75巻7号、2001年)を参照しましょう。
台湾のB級グルメを知るなら、台湾観光局、台湾の夜市(ナイトマーケット)全般については、台湾観光局のウェブサイトも読みやすいです。
- ウェブサイト
- 交通部観光局https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003016&id=154 台北旅遊網(台北市政府観光伝播局)https://www.travel.taipei/ja/attraction/details/1699
- 所在地
- 所在地:台北市基河路101号