国立台湾博物館古生物館は、台北駅と二二八和平公園の間、国立台湾博物館本館の向かい側にあります。南に行けば台湾銀行や総統府がすぐ近くにあります。台北駅から総統府の周辺は、かつてはたくさんの日本人が住み、百貨店や商店の集中する繁華街であり、行政の中心でした。現在でもたくさんの店や銀行があります。古生物館の建物は、もともと日本勧業銀行として1933年に建てられたものです。日本勧業銀行は、東京に本店を置く日本の銀行で、台湾における日本の不動産事業や水利事業を支援るために、台北と台南に支店を設置しました。
1930年代、これら台湾の2つの支店は当時としては新しいコンクリートで造られました。ギリシア・ローマ風の巨大な円柱が目立つ神殿のような外観は、当時の流行を反映しています。二二八和平公園の南にある台湾銀行も1937年に建てられ、やはりギリシア神殿風のデザインが取り入れられています。現在ほど大きなビルがなかった約80年前、神殿のようなビルは銀行の堂々とした雰囲気を象徴し、人々を驚かせたでしょう。
国立台湾博物館提供
古生物館は、古生物に関連する展示だけでなく、建物を生かした銀行に関連する展示も魅力です。戦前、戦後を通じて銀行として利用された歴史を、残された資料から見ることができます。なかでも1階に残された大金庫からは、この銀行の役割がつよく感じられます。鉄で覆われた金庫の中には、当時のままの棚が残され、思ったより広い空間には銀行時代の資料が展示されています。
2階にも戦後の土地銀行時代の歴史や土地政策に関する展示があります。中華民国政府は、日本の農地改革と同様に、大地主の所有する土地を小規模な農家に売却する土地改革を台湾で行いました。土地銀行は、土地改革に関わる業務を担当したため、これらの資料も展示されています。またここは台湾で二番目にクーラーが設置された建物であり、かつて使用されたクーラーを見ることができます。約90年前の最先端ビルで銀行や土地に関する歴史を学べます。
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国立台湾博物館古生物館は、その名のように現在では古生物を中心とした展示がされています。植物や古生物に関する展示は本館にもありますが、ここでは化石や模型を間近で見ることができます。大きなホールには恐竜やゾウ、クジラといった大型の動物の化石や模型が展示され、とても目立ちます。ほかに、たくさんの植物や昆虫など小型の生き物の化石や模型も展示されています。なかでも注目したいのは、台湾にかつて生息していた動植物に関する展示です。300万年前から1万年ぐらい前まで、台湾と中国大陸は陸続きで、その頃多くの動物が中国大陸から台湾へやって来ました。この博物館では、台湾やその周辺で発見された、今では台湾には生息していない生き物についても展示しています。古生物に興味がある方はぜひ一度見てみてください。
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