陳允元撮影
陳允元撮影
臺灣漫畫基地 Taiwan Comic Base
台湾漫画基地(コミック・ベース)
世界に羽ばたく台湾の漫画が一堂に
台湾の漫画は近年急速な発展を遂げ、日本国際漫画賞や京都国際漫画賞を受賞する作家も続出し、欧州最大規模の漫画イベント・アングレーム国際漫画祭でも高い評価を得ています。台湾政府も漫画やアニメを重要なコンテンツとして重視し、漫画産業の振興に力を入れるようになりました。2019年1月、文化部(日本の文科省に相当)の肝いりで、台北駅から歩いて5分ほどの華陰街に漫画博物館「台湾漫画基地」(コミック・ベース)がオープンしました。1階は台湾のオリジナル作品の展示・販売スペース、2-3階は展示やイベントを行うスペース、4階は漫画家たち専用の交流スペースとして、創作のための空間と設備を提供しています。
学びのポイント
台湾の歴史や文化、社会を学べる漫画は?
戦後の台湾漫画の歴史は「武侠もの」と呼ばれる武術にたけた侠客の物語から始まりましたが、近年、「台湾」をテーマにした秀作が続々と生まれています。これについては、総統府直属の研究機関・中央研究院のデジタルアーカイブ部門が編集を手がける『CCC創作集』の貢献が無視できません。これは、台湾の歴史や文化をテーマとした2009年創刊のコミック雑誌で、楽しみながら台湾をより深く理解できるようになっています。特集号のテーマとしては、「日本時代のあれこれ」や「BL最前線」、「女性意識、覚醒!」など、多岐にわたりますが、特に人気が高かったのは、2011年夏の「百年芳華:台湾女性百年の風貌」です。もともとCCCのメンバーには才能あふれる女性が多く、日本統治時代を描いた『北城百画帖(カフェーヒャッガドウ)』で評価の高い、AKRUさんもその一人です。また、歴史意識や郷土意識の高い作家としては、田舎の雑貨屋を舞台にした『用九柑仔店』でゴールデンコミック賞に輝いた阮光民さんがいます。
日本語で読めるものは?
台湾漫画の巨匠・鄭問は、春秋戦国時代の英雄列伝『東周英雄伝』とSF『深く美しきアジア MAGICAL SUPER ASIA』で知られています。台湾を舞台にした作品なら、阮美妹(原作・監修)・
張瑞延(画)『漫画 台湾二二八事件』があり、台湾の戦後史が学べます。新世代作家の張季雅『異人茶跡』シリーズは、「台湾茶の父」と呼ばれるジョン・ドッドと李春生を描き、Hambuck『龍泉侠と謎霧人―台湾布袋劇伝説―』は台湾の伝統的な人形劇の歴史を扱っています。日本のBLは台湾でも人気ですが、台湾で人気沸騰中のBL、MAE『記憶の怪物』は日本に逆輸入されています。韋宗成『冥戦録』は中華系ファンタジーアクションで、道教の神、媽祖を美少女キャラクター化し、少年道士と共に妖怪を退治する人気シリーズです。
陳允元撮影
さらに学びを深めよう
- 【事前学習】【事後学習】ネットで読める日本語に訳された台湾の漫画を探してみまし ょう。
- 【事前学習】【事後学習】台湾の漫画ではどんなことがテーマになっているのか調べて みましょう。
- 【事前学習】【事後学習】「台北国際コミック・アニメフェスティバル」(TICA)や、同 人誌イベント「コミックワールドイン台湾」(CWT)について調べてみましょう
参考資料
台湾の漫画の歴史については、涂銘宏「台湾における日本の漫画―ジェンダーと他者
―」にわかりやすくまとめられていま
す。
漫画基地については、「台湾漫画の軌跡をたどる!台北漫画基地の全面協力による台湾漫画入門」が充実しています。「Comic Street 外漫街」(https://comicstreet.net)のサイトには、他にも台湾の漫画・漫画家についての記事やインタビューが豊富です。『CCC創作集』については、伊藤遊・山中千恵「台湾『中央研究院』による学習マンガとしてのCreative Comic Collection(CCC)』シリーズ――知識を伝達するマンガの政治性認識をめぐって――」(『京都精華大学紀要』第49号、2016年)に詳しいです。