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總統府

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総統府

落成100年周年を迎えた台湾の政治の中心

2019年、築100年を迎えた総統府は、日本統治期の台湾総督府として誕生しました。日清戦争の結果、台湾は清国から日本に割譲され、半世紀にわたってその統治下に置かれます。この時期の最高統治機関の庁舎として1919年に台湾総督府が建てられました。西洋式建築で、赤煉瓦の壁面に白い石を巡らせるスタイルは、建築家の辰野金吾が得意としたことから「辰野式」と呼ばれます。民主化以降は、「みんなの総統府」という理念に基づき、建物の一部が開放されており、台湾と総統府の歴史に関する展示があります。2016年以降の展示テーマは「Power to the people」で、台湾の民主、自由の価値観の堅持が、世界各国と対話を可能にし「台湾と世界をつなげる」ことを表現するものです。

学びのポイント

台湾総督にみる台湾の歴史

日本統治期、台湾の行政長官として台湾総督が置かれました。初代から7代目までの台湾総督は武官でした。4代目の児玉源太郎総督から治安・行政体制を整備し、日本内地資本を経済基盤とする「近代化事業」を推し進めることにより、台湾統治の基礎が確立されました。その後、世界における民族自決運動の高揚、日本の政党政治の始まりにより、8代目から16代目までは文官が総督を務め、台湾統治の基調はいわゆる同化政策に切り替えられました。1936年に戦時体制に対応するため、台湾総督はふたたび武官に戻り、台湾は戦争の供給基地となり、皇民化政策も推進されました。1945年に戦争が終結すると、台湾は中華民国政府の統治下に入り、台湾総督府も台湾省行政長官公署となりました。

総統府の建築上の特徴は?

当初の設計は、明治期の代表的な建築家である長野宇平治の案が選ばれましたが、最高の統治機関としての威厳をより強調するという総督府側の要望があったため、東京駅を設計した辰野金吾の門下生である野村一郎と森山松之助が、長野の設計案にさらに手を加えました。至る所に当時の最新の技術や工法が導入され、日本統治下の台湾における代表的な建造物となりました。

民主化により総統府はどう変わったの?

1949年に国民党が共産党との内戦の結果、中華民国政府が台湾に移ると、この建物は中華民国の総統府として使われるようになりました。戦後台湾の長い戒厳時期には、総統府の周辺は「博愛特区」と呼ばれ、厳しい管制が行われました。 1980年代に入ると、総統府前の大通りは、民主化運動、住民運動、農民運動などさまざまな社会運動の重要な舞台となり、政治的、社会的に重要な場となりました。今日では、「みんなの総統府」の理念のもと、総統府の一部が開放され 、台湾と総統府の歴史が展示されています 。
さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】近年、「みんなの総統府」の理念の下で、市民に向けてどのような活動が行われているか調べてみましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】総統府前の大通りが1996年に「介壽路」から「凱達格蘭(ケタガラン)大道」に改称された経緯とその意味を考え、その大通りで展開した社会運動について調べてみましょう。
  • 【現地体験学習】【事後学習】総統府には歴代総統の写真と略歴が展示されています。これらの総統について調べてみましょう。
参考資料
小笠原欣幸『台湾総統選挙』(晃洋書房、2019年)は、最初の直接選挙が行われた1996年から2016年まで25年間、7回の総統選挙を詳細に分析しています。総統府の100年の歩みについては、総統府が2016年に制作した動画でイメージをつかむことができます。建物の設計については、片倉佳史「台北の歴史を歩くその10 台湾総督府(現総統府)周辺」(『交流』No.848、2011年11月、)、片倉佳史「台湾総督府庁舎(現・総統府)の建築秘話」(『nippon.com』、2018年2月11日公開)が参考になります。総督府を軸に書かれた日本統治期の台湾史としては、黄昭堂『台湾総督府』(教育社歴史新書、1983年)があり、台湾の通史としては周婉窈『図説台湾の歴史』(浜島敦俊等釈、平凡社、2013)が参考になります。SNET台湾のYouTube番組「台湾修学旅行アカデミー 第6回 建築から知る台湾」(講師:上水流久彦)では、日本統治期に建てられた建築の見方について学ぶことができます。合わせてご視聴ください。

(何孟樺)

ウェブサイト
公式https://www.president.gov.tw 交通部観光局https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003090&id=137 台北旅遊網(台北市政府観光伝播局)https://www.travel.taipei/ja/attraction/details/800
所在地
台北市重慶南路一段122号
特記事項
一般開放
平日 9:00-12:00(入場は11:30まで)※団体は利用日の3日前に要予約
土日・祝日(不定期) 8:00-16:00 ※予約不要
見学にはパスポートが必要