顔杏如撮影
台北探索館
台北探索館
台北というところ――時間と空間への旅
台北探索館は台北市政府庁舎の中にあります。前身は市政資料館で、2002年に博物館に変わってオープンしました。台湾の首都・台北市の歴史、文化、産業、自然環境などについて紹介しています。台湾に馴染みのない訪問者でも、台北の生い立ちとプロファイルを短時間で理解できる博物館です。入り口は一階のイメージホールですが、展示は四階の時空対話ホールから三階の城市探索ホールへという順路。二階は不定期の特別展です。四階の展示では過去から現在に至る人々の暮らしや営み、文化を紹介しています。 また発見劇場では、360度の巨大スクリーンで台北のストーリーを上映しています。
学びのポイント
台北って、どんなところ? 誰が住んでいたのか?
台北盆地は17世紀までには、オーストロネシア語族のケタガラン(凱達格蘭)族の人々が活動していたところです。彼らは狩猟や漁猟、耕作、物々交換などによって生活を営んでいました。18世紀に入ってから、海を渡ってきた漢民族の開墾により、台北盆地は徐々に農業社会に変わっていきました。19世紀に至っては、中国大陸との米貿易によって「艋舺」、世界経済システムに巻き込まれることによって「大稻埕」、そして、清朝政府の城建設によって「城內」という三つの市街地が次々とできました。「三市街」は台北市の原型ですが、行政区域としての「台北市」ができたのは、日本統治時代以降です。第二次世界大戦後、日本人が引き揚げ、新たに国民政府とともに渡ってきた軍民、台湾各地からの移住者、アジアからの新住民など、それぞれ異なる時期にこの都市で居を構え、多元的な文化を形成しました。
台北の異なるブロックにはそれぞれどのような特色がありますか?
先史時代から清朝時代、日本統治時代、戦後の権威主義体制を経て現在に至るまで、異なる人々の足跡が台北に残り、異なる時代の痕跡も重なってきました。三階の展示スペースでは、六つの大通りといくつかのブロックを通して、台北の異なるエリアの特色と人々の活動を紹介しています。例えば、権威主義体制から民主主義体制への変化を象徴する「ケタガラン大通り」、娯楽気分の溢れる西門町、異国文化の漂う中山北路、詩人や作家が集まり書籍が並ぶ街角。また、MRTの異なる路線に沿ってそれぞれ違うランドスケープが目の前に現れてきます。一方、台北は山に囲まれた盆地であり、淡水河が盆地を流れて海に流れ込みます。台北は、人間の活動だけではなく、自然環境も豊かです。どんなハイキングコースや水上交通があり、どんな特有の動植物が生息しているのかを発見してください。
さらに学びを深めよう
- 【事前学習】【事後学習】台湾の首都台北に居住する日本人の数と、日本の首都東京に居住する台湾人の数を調べ、その生活体験を掲載する書籍や電子媒体を読んで、理解を深めましょう。
- 【事前学習】【事後学習】台北市と同じ面積を持つ日本の都市を一つ取り上げて、両者の地形、発展の歴史、人口、産業、下の自治体区分(例えば区市町村)を比較してみましょう。
- 【現地体験学習】探索館三階の展示スペースで、あなたが台北で訪問予定スポットの位置を具体的に確認した上、その特徴と意義を記録しましょう。
参考資料
台湾の歴史とエスニック関係について、赤松美和子、若松大祐編著『台湾を知るための60章』(明石書店、2016年)の「I 概論」、またやや専門的ですが、若林正丈『台湾―変容し躊躇するアイデンティティ』(筑摩新書、2001年)があります。日本植民地統治時代の台北の面影については、又吉盛清『台湾 近い昔の旅 台北編――植民地時代をガイドする』(凱風社、1996)が参考になります。古地図や写真、アプリを通して台北の過去を知るには、台湾中央研究院デジタル文化センター翻訳、森田健嗣監訳『台北歴史地図散歩』(ホビージャパン、2019年)。
- ウェブサイト
- 公式https://discovery.gov.taipei/Default.aspx 交通部観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003090&id=5950 台北旅遊網(台北市政府観光伝播局)https://www.travel.taipei/ja/attraction/details/758
- 所在地
- 台北市市府路1号
- 特記事項
- 音声ガイドは日本語あり