大溪生態木藝博物館 大渓木芸生態博物館

台湾の歴史が凝縮された街全体がつくる博物館

桃園市政府提供

この地域一帯は、台湾の木工芸産業の中心地として、200年以上の歴史をもっています。大渓木芸生態博物館はそうした木工芸産業の文化や歴史にとどまらず、清朝時代から続く邸宅や老街、日本統治時代の警察官舎群や道場(武徳殿)、戦後の蔣介石の滞在施設などが点在する地域をひとまとまりの文化区として保存、整備しています。そして、街並み自体が博物館というコンセプトのもと、「囲いのない博物館」として、歴史の記憶や人々の生活を伝えようとしています。歴史的な街並みには、今もなお生活を続け、伝統工芸を営み続ける人々もおり、こうした住民たちが「街角館」として重要な役割を担っていることも、この博物館の特徴です。

学びのポイント

なぜこの場所に台湾の歴史が集まったのか?

大渓は桃園市南部の山岳部への入り口、淡水河の支流である大漢渓沿いの台地に位置し、清朝の時代から山岳部で伐採した木材を運ぶための水運が栄えました。日本統治時代になってもその役割は変わらず、さらに八田與一ら日本の技師によって、現在の石門ダムのもととなる灌漑施設が付近に造られ、多くの日本人が暮らしました。さらに、戦後の台湾を統治した蔣介石は中国大陸の故郷に似たこの地を愛し、日本統治時代の公会堂を別荘として、しばしば訪れました。このようにして、大渓には清朝、日本統治時代、そして戦後の歴史が積み重なっていきました。

昔から現在、未来へと受け継がれるものは何か?

この地域で、各時代を通じて受け継がれてきたものは、博物館の名前にもなっている木工芸の技術や文化です。この博物館では、この地域で木工芸をはじめとする伝統的な産業に携わってきた人々が「街角館」として自分たちの工房や生活空間を開放しており、生活の歴史を語り継いでいます。また、清朝から続く伝統的な街並み(老街)では、日本で生活する私たちから見ても懐かしい、あるいは馴染み深い木製のおもちゃや生活用品を売っている店が沢山あります。こうした伝統は、この街の歴史のなかで受け継がれ、積み重なってきたものです。

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】街の中の史跡が、それぞれどのような時代に建てられたものなのか、グループ分けしましょう。
  2. 【現地体験学習】この地域に点在するそれぞれの史跡の特徴を発見し、写真やメモに残しておきましょう。
  3. 【事後学習】見学した史跡と同じ特徴をもつ建物が、台湾の他の地域ではどこに点在しているか調べましょう。

参考資料

大渓の歴史を解説するような日本語の書籍はありませんが、清朝から戦後までの台湾の歴史を概観するには、伊藤潔『台湾』(中公新書、1993年)があります。また、特に日本統治時代の建造物とその多くが台湾で今もなお保存、利用されていることについては、片倉佳史『台湾に生きている「日本」』(評伝社新書、2009年)に詳しく、この本の中では大渓木芸生態博物館の一部である武徳殿が紹介されています。

(福田円)

ウェブサイト
公式https://wem.tycg.gov.tw/index.jsp
桃園観光導覧網(桃園市政府観光旅遊局)https://travel.tycg.gov.tw/ja/travel/attraction/1041
所在地
桃園市大渓区普済路35号
特記事項
ガイドは要予約(日本語ガイドあり)、案内可能な人数は15名以上70名以下
そのほか、LINEアカウント登録によって聞ける音声ガイドもあり(日本語あり)