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台北101

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台北101

新年の花火でも有名、台湾一の超高層ビル 

台北市街地の南東、市役所の南隣に建つ超高層ビルで、高さは509m。台湾でいちばん高い建物です。101の名は地上101階建てだから。完成した2004年当時は「世界一高い建物」でした。竹の節のようなくびれが特徴で、中華風の宝塔をイメージしたものといわれています。節は8段、ひと節は8階分。台湾で縁起の良い「八」にかけているのですね。設計者の李祖原氏は「東方思想を形にした」デザインだと語っています。地下から地上5階まではフードコートやレストラン、高級ブランドのショップなどの商業施設があり、それ以上はオフィスとして使われています。展望台からの眺めも人気で、おみやげなどの買い物と合わせて楽しめます。また年越しカウントダウンでは、「節」から横向きに花火が打ち上げられることでも有名です。

学びのポイント

どんな構法で造られているの?

ビルの主な建築構法には、鋼材を組合せて建てる「鉄骨造」、ドロドロのコンクリートを鉄筋と一体化させて石のように固める「鉄筋コンクリート造」、その両方の長所をミックスした「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」があります。高いビルはそれだけ荷重が増え、下層ほど柱が太くなるので、さまざまな工夫が必要です。そのひとつがSRCを更に進化させたコンクリート充塡鋼管構造(CFT造)。パイプ状の鉄骨の中にコンクリートを流し込み、曲げにも折れにも強い建築が造れるのです。台北101は、このCFT造を採用した、先駆的な超高層ビルといえます。

イラスト(渡邉義孝)

地震で倒れないの?

ユーラシアプレートとフィリピン海プレートが年間7cmという猛スピードで押し合い、隆起しているのが台湾という島。当然、世界有数の地震多発エリアです。実際にこれまで台湾では、921地震など度重なる震災を経験してきました。地震に対抗する手法には大きく分けて、硬い壁や骨組みで揺れに耐える「耐震」、ゴム等の上に建物を建てて揺れを逃がす「免震」、そして建物内部に錘を置いて揺れを抑える「制震」の3つがあります。台北101では「制震」を採用。最上部の少し下あたりに、直径5.5m、重さ660tの丸い錘が吊られているのです。これは風圧に対しても威力を発揮。最新の技術が駆使されているのですね。

洪淑芬提供

ビルの足元に密集する「眷村」ってなに?

台北101からわずか200m南西に、ビル街とは不釣り合いな古い小さな住宅群が残っています。ここは四四南村と呼ばれる眷村(けんそん)です。眷村とは、日本の敗戦後、1949年以降に中国大陸から移住した人々が暮らした集落のこと。眷村は、台北市内にもいくつも造られました。四四南村は、再開発(壊してビルなどに建て替えること)計画で住民が転居した後に、「歴史的な価値があるから文化財にしよう」との声が高まり、アートのための空間としてリノベーション(改修)されたのです。レトロな町並みと現代の美術が融合するユニークな空間として観光客に親しまれています。

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】世界の高層建築のランキングを作ってみましょう。
  • 【現地体験学習】展望台に上り、地図を見ながら、修学旅行で訪れるスポットの位置を確認してみよう。
参考資料
101のエレベーターの技術については、藤田 善昭 , 首藤 正志 , 平井 正昭 , 上村 晃正 , 水野 末良 , 中川 俊明「台北101向け速度1010m/minエレベーター(昇降機・遊戯施設等の最近の技術と進歩)」(『昇降機・遊戯施設等の最近の技術と進歩技術講演会講演論文集』2004年)に詳しくデータを用いて分析されています。藤田賀久『台湾へ行こう!』(2018年、えにし書房)はスタディーツアーガイドシリーズです。

渡邉義孝 

ウェブサイト
公式 https://www.taipei-101.com.tw/ja/ 交通部観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003090&id=4927 台北旅遊網(台北市政府観光伝播局) https://www.travel.taipei/zh-tw/attraction/details/217
所在地
台北市信義区信義路五段7号