館内では、史明の部屋が再現されている(藍士博提供)

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史明文物館

史明文物館

池袋でターローメンを作り続けた台湾人革命家の文物館

史明文物館は、台湾独立運動革命家の史明(本名:施朝暉、1918-2019)が生前台湾で最も長く住んだ場所につくられています。館内には、日本統治時代、中国国民党統治時代、民主化時代を経た史明の人生の軌跡、そして日常生活の様子が展示されています。史明の重要な著作である『台湾人四百年史』の各種異なる版が保存されているほか、史明が創立した組織「独立台湾会」の機関誌『独立台湾』、『台湾大衆』の復刻本全冊の閲覧もできます。
史明文物館は2019年に史明が亡くなった後に修繕が進められましたが、訪問客をもてなしたリビングや寝室は、今もなお生前の時のまま保存されています。館内には精神的シンボルを表したステンドグラスや、2000人以上のスポンサーの名を記して作られた台湾地図のモザイクアートもあり、格好の撮影スポットになっています。

学びのポイント

少年よ、大志を抱け

史明は日本統治時代に生まれ育ちました。家庭は裕福でしたが台湾の未来と社会の公平や正義に対して彼なりの理想を抱いていました。母親は史明が医者になることを望んでいましたが、彼は中学を卒業する前に密航して日本へ向かいました。早稲田大学でマルクス主義、社会主義の地下読書会に参加し、いわゆる「マルクスボーイ」となりました。当時の青年は社会改革に対してなぜそれほど激しい情熱を抱いていたのでしょうか。また、あなたは社会にどんな理想を持っていますか。

内部の展示(藍士博提供)

厨房に立つことも革命だ!

1952年、史明は蔣介石暗殺計画に失敗し、再び日本へ亡命することになりました。彼は東京の池袋で中華料理店「新珍味」を開き、生活のために日々餃子やターローメンを作りました。史明は「始めたときは迷いがありましたが、後に厨房に立つ(生計を立てる)ことも革命だと自分を納得させました。するとようやく気持ちが穏やかになってきたのです」と語っています。あなたは、理想と現実は両立すると思いますか。また、理想と現実のバランスをいかに取るべきだと思いますか。

まず真っ当な人間たれ、そして台湾人たれ

史明は生涯にわたって台湾独立運動革命家でしたが、晩年はいつも人々に「まず真っ当な人間たれ、そして台湾人たれ」と促していました。あなたはこのような呼びかけをどう受け止めますか。

『独立台湾』が閲覧できる(藍士博提供)

さらに学びを深めよう
  • 1.【事前学習】【事後学習】東京では現在も史明の名物料理―ターローメン-を食べられるお店があります。それはどこでしょうか。機会があれば、行って食べてみましょう。
  • 2.【現地体験学習】階段の途中のステンドグラスには、何が描かれていて、何を意味しているでしょうか。
  • 3【現地体験学習】史明は台湾に生まれ、理想を抱いて日本に渡り、さらに中国大陸でも暮らした経験があるという、波乱に満ちた一生を送りました。文物館で史明の一生をたどり、何を感じましたか。話し合ってみましょう。
参考資料
史明の最も重要な著作『台湾人四百年史』は1962年の出版以来、日本語版、中国語版、英語版、漫画版と多くの言語・形式で出版されてきました。史明の生涯については、田中淳『理想はいつだって煌めいて、敗北はどこか懐かしい:100歳の台湾人革命家・史明 自伝』(講談社、2018 )が参考になります。

(藍士博)

公式ウェブサイト
史明教育基金会https://tw400.oen.tw
所在地
新北市新荘区中平路110巷17号3階
本館は日本語、英語、台湾語、中国語などの多言語デジタルガイドを提供しています。
開館時間:10:00-17:00 *事前に予約してください。
ネット予約 https://tw400.oen.tw/questionnaires/2OuA7Mk3UFkUfJ3BNpXmumDyi8E