大安森林公園の屋外ステージ(松葉隼提供)

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大安森林公園

大安森林公園

さまざまな世代の人々が集う大都会台北のオアシス

台北市のほぼ中心に位置する大安森林公園は、台北市で最大規模を誇る都市型公園です。この場所は、戦前・戦後を通じてたびたび公園建設予定地となりましたが、実現には至りませんでした。戦後は、中華民国政府の移転にともない、軍の施設が建設され、中国大陸から移住した人々の住宅地になりました。その後、この土地の利用について議論もありましたが、1989年に公園として整備されることが決まりました。1992年から住宅や施設の移転と撤去が始まり、1994年に大安森林公園として完成、市民に開放されました。大都会のオアシスとして、多くの人々に愛されているほか、多様な生態系が見られ、貴重な動植物の生息と繁殖の場でもあり、台北に新鮮な空気をもたらす「都市の肺」として機能しています。

学びのポイント

緑豊かな都会のオアシス

台北市中心部からやや南に位置する大安区は、国立台湾大学や国立台湾師範大学など、多くの大学が置かれる文教地区であるとともに、台湾で最も高い人口密度を誇る住宅地です。同時に永康街(東門)や青田街、公館・師大夜市など、ショッピングや観光のスポットが豊富な商業地でもあります。このように多数の顔を持つ大安区は、台北市内でも最も人気があるエリアの一つです。そして、その人気をさらに高めているのが広さ26ヘクタールにも及ぶ広大な台北のセントラルパーク、大安森林公園です。台北の人々に親しまれる緑豊かな公園であり、光合成によって酸素を放出する機能から「都市の肺」とも呼ばれています。

緑豊かな公園敷地(松葉隼提供)

大都会の「森」で豊かな自然に触れる

大安森林公園では豊かな自然が育まれています。生態系を再現したビオトープも設けられており、台湾の国鳥であるヤマムスメをはじめ、49種類の鳥類が生息することから、バードウォッチングのスポットとしても有名です。そのほか、リスなどの動物も多数暮らしており、自然教室が開かれるなど、環境教育の重要なスポットでもあります。2012年に新荘線(当時)の東門駅が公園のやや西側に開業し、2013年には信義線(当時)の大安森林公園駅が間近に開業したことで、一気にアクセスがよくなり、老若男女が集う場となりました。公園内には子ども用の遊具や健康増進のための器具、ジョギング・ウォーキングコースもあり、昼夜を問わず多くの人で賑わっています。また、園内の音楽堂では、ライブや講演会のほか、選挙演説会も開かれ、特に選挙シーズンにはそれぞれに主張を持つ多様な人々が入れ替わり立ち代わり集います。四方を信義路、建国南路、新生南路、和平東路という交通量の多い大通りに囲まれており、そのうちの新生南路には、台湾最大のモスク・台北清真寺と台湾最大のカトリック教会・台北聖家堂が並び立っています。

公園内の器具(松葉隼提供)

公園内には様々な鳥類が生息する(松葉隼提供)

 
さらに学びを深めよう
  • 1. 【事前学習】地方自治体のHPを利用し、あなたが住む地域の都市公園の種類や特色について調べましょう。
  • 2.【事前学習】大安森林公園にはどのような動植物が生息しているでしょうか。台湾の固有種も意識して調べてみましょう
  • 3.【現地体験学習】大安森林公園に集まった市民がどのように過ごしているか見てみよう。
参考資料
台湾の公園の様々な取り組みについては、中村加代子「私たちの公園革命―台湾に『インクルーシブ遊戯場』が生まれた日」(『nippon.com』、2020年5月16日)、中村加代子「コロナ禍の今だからこそ注目したい台湾の公園革命——みんなで育てる公共空間」(『nippon.com』、2020年7月4日)。
大安森林公園については、多くのガイドブックなどで紹介されています。台湾の食文化と移住者の関係については、赤松美和子・若松大祐編著『台湾を知るための72章【第2版】』の第51章「第30章 外省人-タロイモさん・眷村・牛肉麺」で論じられています。周辺エリアについては「永康街」も併せてごらんください。
また、専門的な内容ですが、劉東啓「台北市における公園の成立と展開に関する研究」(千葉大学博士論文、2000年)が参考になります。

(松葉隼)

公式ウェブサイト
交通部観光局「大安森林公園」
https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003090&id=6187(日本語)
所在地
台北市大安区新生南路二段1号