赤松美和子撮影

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野柳地質公園

野柳地質公園

自然の力から生まれたアートワーク

野柳地域は大屯山(だいとんざん)の連なりが海に突き出した岬で、遠くから眺めると海にダイブしているゾウガメのように見えることから「野柳亀」とも呼ばれます。野柳地質公園の入り口から岬の正面までの距離は約1.7km、最も広い場所でも幅は300m以下です。海岸の延長方向と地層がほぼ垂直であることに加え、波の侵食や風雨による風化、地殻変動などの影響により、海蝕洞、ローソク岩、きのこ岩、豆腐岩、蜂の巣岩、甌穴、溶食皿など、世界でも貴重な地質・地形の奇観が数多く形成されました。中でも女王頭(クイーンズヘッド)は国際的に有名な海食の奇観です。

学びのポイント

独特な地形景観はどのように形成されたのか?

野柳の地質は、約2000万年前に当時の浅海環境(水深約10m)に堆積した海砂でできた砂岩で構成されています。何百万年もの間、多くの砂泥が覆い、徐々に数千m下の海底に積もりました。長期にわたって地下深部に埋もれる過程で、地中の温度と圧力が非常に高くなり、もともとは緩い堆積物が徐々に圧縮され、硬い岩石となりました。そして約600万年前、プレート活動により岩層が押し上げられ、台湾島ができました。それに伴い、野柳の岩石も徐々に押し上げられ、数万年前に野柳岬の砂岩が地表に露出したと考えられます。その後、野柳の砂岩は風化・侵食され、岩石の硬度や構造が違いにより、様々な形状の岩石が誕生しました。岩石の性質が近くても、風、雨、海水、生物など、いろいろな条件の違いによって削られ方が異なるため、独自の特徴を持つ地形景観ができたのです。

女王頭(クイーンズヘッド)

きのこのような形の岩で、野柳地質公園で差別侵食により形成された地形の中ではもっともよく知られています。首が細く優美な顔つきの女王が遠くを眺めているように見えることから、ある写真展で「女王頭」という題での展示され、野柳の観光名所となりました。岩石の年齢は約4000歳です。高さは約8mですが、首回りは、長期にわたる風化と侵食により、2008年の138.27cmが2021年には120.49cmと、年間0.2〜0.5cmの割合で細くなっています。このままでは、あと10年から15年くらいで見られなくなってしまうと推定されています。
さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】風化・侵食の駆動力(外的営力)の要因を調べましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】差別侵食とは何かを確認したうえで、その原因を調べましょう。
  • 【現地体験学習】女王頭以外の地形についても写真を撮り、それぞれにタイトルを付けてみましょう。
参考資料
野柳地質公園の全貌については、交通部の動画「地質の旅 - 野柳地質公園」で詳しく紹介されています。公式ウェブサイトでは、それぞれの堆積岩の来歴が詳しく説明されています。

(陳麒文)

ウェブサイト
公式 http://www.ylgeopark.org.tw/
交通部観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003091&id=155
北海岸および観音山国家風景区 https://www.northguan-nsa.gov.tw/user/Article.aspx?Lang=3&SNo=04002756
所在地
新北市萬里区野柳里港東路167-1号