蔡蕙頻撮影
國立台灣圖書館
国立台湾図書館
日本統治期の文献を多数保存する旧台湾総督府図書館
国立台湾図書館は新北市にある国立図書館です。台湾には3館の国立図書館があり、ここのほかは、国家図書館(台北市)と国立公共資訊図書館(台中市)です。国立台湾図書館の前身は日本統治期にあった台湾総督府図書館です。1914年に官制が発布され、最初は艋舺(万華)の清水祖師廟に設置されましたが、のちに台湾総督府彩票局の庁舎に移され、1915年に正式に開館しました。同図書館は、日本統治期において最大規模の公共図書館でした。
戦後は改名と移転を繰り返しました。現在は専門図書館と一般市民向けの公共図書館の二つの機能を担っています。また、日本統治期の台湾総督府図書館と南方資料館の蔵書を保存しているため、台湾学研究の重要拠点として世界的に知られています。国立台湾図書館の親子資料センターと台湾図書病院は、それぞれ台湾総督府図書館の児童室と製本室でした。そのほか、視覚障がい者資料センターも設置されています。
学びのポイント
台湾の図書館のはじまりは?
台湾初の一般向けの図書館は、1901年に台北で開館した私設の台湾文庫でしたが、1906年に台北市の市区改正により閉館しました。1908年には、石坂荘作が基隆に石坂文庫を設立しています。国立台湾図書館の前身である台湾総督府図書館は1914年開館で、台湾初の図書館ではありませんが、台湾初の閲覧無料の官立図書館でした。
国立台湾図書館と国家図書館の違いは?
どちらも国立図書館ですが、その歴史は異なります。国立台湾図書館の前身は1914年に開館した台湾総督府図書館であり、日本統治期の文献を数多く保存し、台湾学研究センターを設置しています。一方、国家図書館は1928年に南京で開館し戦後中華民国政府とともに台湾に移転した図書館です。明・清代の文献のコレクションが充実し、漢学研究センターがあります。
台湾学研究の拠点としての役割
「台湾学」とは、台湾に関する学術研究、特に台湾史研究を指す言葉です。戦後、民主化するまでの台湾では、台湾を研究することが難しい状況が長く続きました。しかし、1980年代に入ると、民主化、台湾化の進展につれて、台湾史研究が重視され始めます。その際、研究史料として盛んに利用されたのは、国立台湾図書館が保有する旧台湾総督府図書館の蔵書です。国立台湾図書館は、2007年に台湾学研究センターを設置して、台湾研究の拠点の役割を担うようになりました。
さらに学びを深めよう
- 【事前学習】国立台湾図書館の台湾学研究センターは2007年に設置されましたが、日本では1998年に日本台湾学会が設立されました。同学会が刊行する『日本台湾学会報』の創刊号を読んで、台湾を研究する難しさと面白さについて考えてみましょう。
- 【事前学習】国立台湾図書館という館名になるまで、この図書館は2回改名されました。3つの館名を調べ、なぜ名前が変わったのか考えてみましょう。
- 【現地体験学習】図書館の6階で日本統治期の資料を直接手に取って読んでみましょう。
参考資料
台湾総督府図書館を紹介する日本語書籍は、春山明哲『台湾総督府図書館長・山中樵―事跡と回想録』(金沢文圃閣、2018年)があります。国立公文書館アジア歴史センターのホームページには台湾総督府図書館の簡単な紹介があり、大正または昭和期の台湾総督府図書館の概覧、要覧、一覧なども各年度分が残っています。国立台湾図書館のホームページでは、「日治時期図書影像系統」(要登録)として、それらすべての資料のデジタル資料がデータベース化されているので、検索してみてください。
- ウェブサイト
- 公式 https://www.ntl.edu.tw/mp.asp?mp=3333
- 所在地
- 新北市中和区中安街85号