立法院

1919年、台北第二高等女学校が建てられました。戦争中に米軍の空襲を受け、校舎は破壊されましたが、戦後修復し、増築しました。その後、台湾省政府農林庁事務所、水利局事務所として使用されましたが、1956年に台湾省政府が台湾中部の中興新村に移転したため、それまで中山堂を議場としていた立法院がこの場所に移転しました。現在、立法院の議場と行政棟は元の高等女学校の敷地にあり、立法委員（国会議員）の事務室、立法院図書館、各政党の部屋は、近くのビルに置かれています。台北第二高等女学校から立法院へ。日本統治期は女子教育、中華民国政府の台湾移転後は政治と、常に重要な場所であり続けたのです。

管碧玲國會辦公室提供

現在の台湾の政治制度は、7回の憲法改正の成果であり、立法院は極めて重要な役割を果たしています。中華民国憲法は1947年に制定されましたが、国共内戦のため、翌年の5月に「動員戡乱時期臨時条款」が施行されて凍結されました。1990年代初期に民主化が緒に就くと、1991年に最初の憲法改正が行われました。政治の民主化に伴い、3回の憲政改革が行われ、国会の全面改選や総統の直接選挙等が可能になり、様々な制限がありながらも、徐々に民主的な体制が整えられていきました。第4回の憲政改革では、内閣制に近い政治制度から「半大統領制」となりました。立法院は、行政院長（内閣総理大臣に相当）の同意権を失う代わりに、行政院（内閣に相当）への不信任議決権を得、行政院は立法院に対して責任を負うようになりました。
これまでの憲政改革は、立法院の権限のみで行われたものではありません。第7回の憲法改正以前は、立法院のほかに「国民大会」という機関があり、憲法改正は国民大会でも審議される仕組みでした。中国大陸を含めて比例代表制で国民大会代表を選出する制度は、中華民国政府の実効支配地域に鑑みて適用しがたいため、第4回の憲法改正で形骸化され、第7回の憲法改正で国民大会が廃止されました。第4回から第7回の憲法改正では、立法院が提出した憲法修正案を批准するために公民投票を行うこと、政治体制を半大統領制にすること、国会議員の選挙制度を変えることなど、重要な決定が行われたのです。7回の憲法改正によって台湾が民主化の道を歩む中で、立法院が持つ権限も徐々に変わっていきました。

第7回の憲法改正の後、立法委員（国会議員）の選挙制度は大きく変わりました。立法院の議席の定数はそれまでの約半分の113席となり、任期が3年から4年に延びました。また、選挙制度には小選挙区比例代表併用制を採用し、立法委員を選ぶ際に、1票は自身の選挙区の候補者を、もう1票は政党を選ぶようになりました。