誠品信義店 誠品信義店

いま台湾で活躍するクリエイターや文化人は、みんな「誠品書店」で大きくなった

中華民国交通部観光局提供、長栄国際股份有限公司撮影

1989年の開業以来、台湾文化を牽引してきたのが誠品書店です。創業から一貫するテーマは「生活と読書の博物館」で、ライフスタイル重視の文芸青年を意味する「文青」文化を生み出しました。信義店は、2006年、台北101に近い抜群のロケーションにオープンしました。地下2階から地上6階までの各フロアは、本のみならずファッションやインテリア、アートやカフェ、音楽ショップ、食材店やレストランなど様々な要素が融合したセレクトショップになっています。敦南本店の閉店に伴い、2020年6月1日より24時間営業になりました。たとえ夜中であっても、多くの人が思い思いの場所に座り、読書を楽しんでいる姿を見ることができます。

学びのポイント

創業者はどんな人?

台南出身の創業者、呉清友氏は、もともとは欧米のインテリア設備や建材を輸入する小さな会社を営んでいましたが、自身の心臓の手術をきっかけに一念発起し、本屋を 開業しました。38年に及ぶ世界最長と言われる戒厳令が解除された2年後、1989年のことです。文化、芸術、ライフスタイルをまたいでクロスオーバーな価値を創造してきた誠品書店は、いま台湾で活躍するクリエイターや文化人に多大な影響を与えてきました。2017年に呉氏は亡くなりましたが、「わたしが開くのは書店ではなく、読書を広める場所だ」という意志はその後も引き継がれています。

どうして台湾で「誠品」が成功したの?

誠品書店は、最初から経営が順調だったわけではありません。十数年間も続いた赤字の時期、それを経済的に支え続けたのが、電子部品メーカーのペガトロン会長・童子賢氏でした。文化創造を様々な形で応援、支援する個人サポーターは、台湾の文化を語る上で欠かせない存在です。

「誠品」が影響を与えた台湾の読書文化の拡がりをみてみよう

誠品書店に触れながら大きくなった「文青」(文芸青年の略)たちが、今や台湾各地で個人書店を開き、雑誌や本を作っています。書店にはカフェが併設され、読書イベントがよく開催されるなど「読書を広める場所」という誠品の精神はここにも息づいているようです。それぞれの書店にオーナーの個性の感じられる台湾の個人書店を訪ね、日本の書店のあり方と比べてみましょう。

中華民国交通部観光局提供、長栄国際股份有限公司撮影

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】【事後学習】 2019年、日本橋に誠品書店が出店しました。誠品書店以外に、どんな台湾企業が日本に出店しているのか、あるいは国際的に有名なのか調べてみましょう。
  2. 【現地体験学習】日本文学、もしくは漫画のコーナーに行って、タイトルがどのように翻訳されているか、観察してみましょう。
  3. 【現地体験学習】台湾各地の書店などで、様々なフリーペーパーが入手できます。近年は、どの雑誌もデザインやテーマ作りなどに力を入れています。手に入れてじっくり眺めてみましょう。

参考資料

台湾の文学環境や「文青」文化については、赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための60章』(明石書店、2016年)の第38章「文芸青年-書店文化・村上春樹・文学キャンプ」に詳しい紹介があります。アーヴィン・チェン監督の映画『台北の朝、僕は恋をする』では、2020年に閉店した誠品敦南店を舞台に主人公たちが出会い、24時間眠らない文化空間の魅力を伝えています。

(栖来ひかり)

ウェブサイト
公式https://meet.eslite.com/tw/tc
所在地
台北市信義区松高路11号
特記事項
1. 参観には事前申込が必要。申込表は公式サイトでダウンロードする。 2. 専門ガイドは11:00、14:00、15:30の3回。その他の時間帯にガイドを希望する場合は、20人以上、料金NT$100/人で申込可能。入場料金はすべて構内で販売している商品の購入に当てられる(食事と飲み物を除く)。ガイドはビデオ視聴も含めて60分間で、来場日の7日前までに予約する。