台湾労働者フロント協会提供

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台灣勞工陣線

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台湾労働者フロント協会

搾取なしの社会を

労働運動といえば、古い、硬いといったイメージを想像するでしょう。しかし、労働運動は長い歴史を持ちながら、常に新たな課題に取り組んでいます。台湾労働者フロント協会は、戒厳令期の1984年に「台湾労働者法律支援会」として発足しました。自由がなかった時代でしたが、弁護士たちが法律を力に労働者を助けようとしました。その後、台湾の政治は民主化されましたが、労働者は自動的にしあわせになるわけではありません。「労働者を支える」という精神を引き継いで、研究調査、出版、教育、政策提言などあらゆる側面から労働者を支える台湾労働者フロントになりました。今は不当解雇など労働問題を抱く労働者の相談から、ウーバーイーツなどの配達員の実態調査まで、平等な社会を目指して常に最新の労働問題に取り組んでいます。

学びのポイント

配達員の実態調査

ウーバーイーツやフードパンダなどのデリバリー業をはじめ、いわゆる「プラットフォームビジネス」は私たちの身近な存在になりつつあります。プラットフォームで働いている配達員も、いつも街で見かける風景のひとつになりました。配達員はアプリから仕事を請け負って、誰でもいつでも仕事できるため、かなり自由だと見られています。しかし、コンビニやスーパーでのパートとは違って、最低賃金が保障されていませんし、会社に保険加入の義務もありません。例えば、配達途中に転んで怪我をしても、すべて自己責任です。台湾労働者フロント協会は配達員に関する調査を行い、不安定な収入と交通事故などによるリスクを明らかにしました。今後、最低賃金を保障し、正式な契約をするとともに、社会保険を提供し、配達員の労働環境を改善するよう求めています。

台湾労働者フロント協会提供

ワーキングプアをなくす

「過労」、「非正規」、「ワーキングプア」(働いているのに、生活するための十分な収入を得られない人々)などは、台湾でも日本でもよく耳にする言葉になっています。2019年のデータによれば、台湾労働者の年間労働時間は2,028時間であり、日本の1,644時間を上回っています。近年、台湾の若者の政治への関心が高まるにつれて、格差やワーキングプアへの不満も表面化しています。具体的には、組合の結成や労働問題に関する集会が増えています。台湾労働者フロント協会は政府統計を分析して、労働時間が一番長いのは警備業や交通業、非正規労働者に依存しているのは建設業、塾講師などの教育業の平均月給が全体労働者の半分しかないなどの問題を指摘しています。いずれも「ワーキングプア」になるリスクが高い業種です。これから上記業種について、労働基準法の順守や労働条件の向上を政府と雇用主に求めるように、労働者の連帯を訴えています。
さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】 日本のメディアで取り上げられた労働問題を調べて、台湾との共通点と相違点を考えてみましょう。
  • 【現地体験学習】台湾労働運動の非暴力直接行動と台湾民主化の歴史を聞いて、労働運動と社会の関係性を考えてみましょう。(協会提供、約1時間、時間応相談)
  • 【現地体験学習】台北市で労働運動の現場(行政院、立法院など)を見学して、自分もできそうな行動を考えてみましょう。(協会提供、約1時間半、時間応相談)
参考資料
台湾の労働問題について、台湾の通信社「中央社」の日本語版サイド「フォーカス台湾」で、労働問題に関するキーワードで検索すれば、最新のニュースを閲覧することができます。 日本について、とりわけ若者の労働問題に関するニュースは、若者による労働問題に取り組む「NPO法人POSSE」のホームページが参考になります。

(許仁碩)

ウェブサイト
公式 http://labor.ngo.tw/

(中国語)

http://labor.ngo.tw/about-labour-en/introduction-en

(英語)

所在地
台北市中正区林森南路4-2号4F

特記事項
・事務所訪問、現地見学ガイド:上限20人
・オフィスアワー:月〜金 9:00〜17:00