栖来ひかり氏提供

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台北當代藝術館

台北当代芸術館(MOCA)

かつての小学校が現代アートの発信地に

台北当代芸術館の建物は、日本統治時代の1919年に設立された建成尋常小学校の校舎を再利用しています。 太平洋戦争が終わり、台湾が中華民国に接収されると、小学校は廃止され、台北市の市庁舎になりました。1993年に市庁舎が現在の場所に移ったあとは、建物後方の一部は建成中学校の校舎に、正面の建物は美術館として整備され、現代アートを専門とする台北当代美術館として2001年にオープンしました。国内外の作家による絵画、彫刻、映像やインスタレーションなど展示のジャンルは幅広く、カフェやミュージアムショップも充実しています。玄関に入ってすぐ現れるのは、メディアアートの先駆者として国際的に知られる日本のアーティスト山口勝弘の作品「龍」。元は小学校の教室だった部屋を展示室にしているため、小さく区切られた空間や階段の踊り場などもうまく利用して展示しているのが特徴です。

学びのポイント

どんな作品に出会えるの?

2か月ごとに入れ替わる企画展では、台湾のアーティストのほか、日本や韓国、中国、東南アジアといったアジアのアーティストの作品をはじめ、欧米アーティストの作品も展示されます。2017年にはアジアで初めてLGBTQをテーマにした展覧会「光・合作用──アジアのLGBTと現代美術」がここで開催されました。台湾ではその2年後にアジアで初めて同性婚が法制化されています。台北当代美術館の展示は、その時々の台湾社会の関心事や価値観の変容を、現代アートを通して教えてくれるでしょう。

台湾の現代アートってどんな特徴があるの?

個人的な経験や記憶から、台湾やアジアの重層的な歴史を照らし出そうとするチャレンジが多く見られます。例えば、1983年台中生まれの許家維(シュウ・ジャウェイ)は、日本統治時代の軍需工場の廃墟を使った映像や、タイ北部に住む元・CIAスパイの台湾人の老牧師の記憶を作品にしました。また1971年雲林県出身の王虹凱(ワン・ホンカイ)は、日本植民地下の台湾で生まれ、20世紀東アジアの荒波に翻弄された不遇の音楽家・江文也(1910〜1983)に注目した作品をアジア・アート・ビエンナーレに出品しています。歴史認識や政治、社会運動をテーマに扱ったものが多く、「個人的なことは、政治的なことである」という意識が根付いていると言えそうです。
さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】日本の展覧会に出品したことのある台湾アーティストについて調べてみましょう。
  • 【現地体験学習】展覧会のテーマや問題意識、また日本の現代アートとの違いについて考えたり、話し合ったりしてみましょう。
参考資料
『美術手帖』2020年10月号「特集ポスト資本主義とアート」掲載の栖来ひかり「台湾アートシーンの現在」では、武玉玲・何采柔・張徐展・幾米・游文富の五人の台湾人アーティストを紹介しています。「光・合作用──アジアのLGBTと現代美術」展については、『美術手帖』のウェブサイトに掲載されている栖来ひかり「クロスオーバーする台湾現代美術──歴史と記憶、社会へのまなざし」に詳しく紹介されています。許家維については、栖来ひかり「世界を知るための入り口としての歴史=記憶。許家維(シュウ・ジャウェイ)インタビュー」を読んでみましょう。許家維の作品の写真も掲載されています。

(栖来ひかり)

 

ウェブサイト
公式https://www.mocataipei.org.tw/

(中国語・英語)

所在地
台北市大同区長安西路39号