工業技術研究院本部
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工業技術研究院

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工業技術研究院

産業技術の開発を担う―台湾半導体産業もここから生まれた

工業技術研究院(以下、工研院)は1973年、3つの国立の研究機関を統合し、財団法人として設立されました。経済部長(経済産業相に相当)だった孫運璿(後に行政院長。行政院長は首相に相当)が韓国で研究機関を見学し、台湾にも同様の研究機関が必要だと考え、設立に尽力しました。
工研院の役割は産業技術の開発で、台湾の半導体産業を生み出したことでその名を高めました 。工研院は新竹県に設立され、現在は台南市や南投県にも分院があります。材料及び化学研究所等6つの研究所、ビッグデータ科学技術センター等6つの研究センターなどがあります。従業員は約6000人、その80%以上が修士または博士です。

学びのポイント

台湾の半導体産業の発展において、工研院はどのような役割を果たしたでしょうか

半導体は台湾にとって最も重要な産業の1つであり、また世界の半導体産業において台湾は非常に重要な役割を果たしています。米中対立においても、台湾の半導体産業が焦点の1つとなっています。
工研院は台湾半導体産業の生みの親です。1970年代に入って、台湾ではそれまでの経済成長の結果、賃金が上昇し、政府はより高度な産業を発展させなくてはならないと考えました。そこで工研院は半導体の技術をアメリカから導入して学び、それをもとに半導体をつくる企業を生み出しました。その代表がUMC(聯華電子)やTSMC(台湾積体電路製造)です。

工業技術研究院を参観する蔡英文総統
(Attribution: 總統府, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons)

台湾の産業発展において在米華人技術者はどのような役割を果たしたでしょうか

1949年以前の中国から、またそれ以後の台湾から、多くの若者がアメリカに留学しました。彼らのなかには、その後、技術者として台湾に多大な貢献をした人がたくさんいます。
工研院が半導体技術を導入する過程で重要な役割を果たしたのは潘文淵です。彼は技術導入のプロジェクトを立案し、その進行をサポートしました。工研院には彼を記念する部屋があり、年譜や文献が展示されています。プロジェクトを率いたのはアメリカ留学後、国立交通大学で教えていた胡定華でした。楊丁元や史欽泰はプロジェクトのためにアメリカから戻り、中心的な役割を果たしました。

台湾の研究開発において、工研院はどのように位置づけられているでしょうか

自然科学の研究開発は、基礎研究、応用研究、開発研究の3段階に分けられます。基礎研究は科学的な関心から新しい知識を探求し、応用研究はそれを実用的な見地から発展させ、開発研究は前二者をもとに製品や工程を生み出したり、改良したりします。経済部(経産省に相当)傘下の工研院は応用研究と開発研究を担っています。一方、基礎研究の主な担い手は大学や中央研究院です。科学技術を所管する科技部に属する国家実験研究院 は、基礎研究と応用研究に重点を置いています。
工研院では研究成果を展示しています。どのような研究開発を行っているのか、直に触れることができます。
さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】孫運璿という人物のバックグランドについて調べてみましょう。また、彼が経済部長として工研院を設立した1970年代前半、台湾経済にはどのような課題があったのかも調べてみましょう。さらに、政府はそれに対して、工研院の設立や半導体産業の育成のほかに、どのような政策を講じたのかも調べてみるとよいでしょう。
  • 【事前学習】【事後学習】工研院を母体として生まれた半導体産業の台湾経済における重要性と、世界の半導体産業における台湾の役割について調べてみましょう。例えば台湾の輸出に半導体が占める割合はどのくらいでしょうか。また、世界の半導体貿易に台湾が占める割合はどのくらいでしょうか。さらに、現在のアメリカと中国の対立のなかで、なぜ 台湾の半導体産業が注目されるのかも調べ、考えてみましょう。注目する必要があるのは、台湾のTSMCと中国のファーウェイ(華為技術)です。
  • 【事前学習】【事後学習】工研院が行っている産業技術の開発は、日本ではどのような機関が行っているのかを調べてみましょう。そこから、さらに日本と台湾の違いや、その理由についても考えてみてください。
参考資料
台湾 の半導体産業については、佐藤幸人『台湾ハイテク産業の生成と発展』(岩波書店、2007年)、特に第2章から第6章を読んでみましょう。台湾の経済やTSMCについては、台湾修学旅行アカデミー by SNET台湾第5回「台湾の経済」川上桃子(アジア経済研究所)を見てみましょう。

(佐藤幸人)

ウェブサイト
公式 https://www.itri.org.tw/

(中国語・英語)


日本事務所 https://www.itri.org.tw/english/ITRI-Japan-Office?CRWP=620166656134542576

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所在地
新竹県竹東鎮中興路四段195号

特記事項
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