萬華地区には古刹である龍山寺や歴史的建造物を保存した剥皮寮歴史街区があり、台北市の代表的な観光地として知られています。ただ、多くの観光客は通り一遍の物見遊山にとどまり、この地域を深く知る機会はありません。「台北街歩き」では、この地域の二面性について知ってもらう工夫がなされ、ガイド自身の人生についても語ってもらいます。ガイドは、年齢、職業、社会階層の異なる多くの人と交流することによって、生きる自信を回復します。また、有料のガイドツアーであるため、参加費の60%がガイドの収入となり、経済的自立も可能になります。残りの40%は、設備費、保険料、芒草心慈善協会職員の給与やボランティアへの交通費、さらに新しいガイドの養成訓練などの費用にしています。
ホームレス支援の現場で経験を積んだソーシャルワーカーによって、2011年に設立されました。以来、アジア各地の組織と交流を図りつつ、各国の経験を学び、台北の支援現場で革新的な支援モデルの構築に取り組んでいます。2013年には路上生活経験者のために自立支援センター「三水楼」を立ち上げ、就労事業を始めました。路上生活経験者には建築労働の経験を持つ人が多いことに着目し、2016年には「工務店事業」を始め、地域の貧困家庭のために、ペンキ塗装、電気工事、左官、空調設備設置、清掃、解体などの仕事を請け負っています。また、地域住民との交流事業として「ご飯食べた?地域の食卓」というイベントがあり、三水楼で定期的に自立支援センターの退所者と芒草心慈善協会の職員、ボランティア、地域住民、商店街の人々が一緒に食事しています。さらに、啓発活動として「路上生活体験キャンプ」を行い、参加者は100元の交通カード、リュックサック、寝袋、洗面用具、箸、椀だけを用意して、二泊三日を路上で過ごします(2020年7月現在)。