台灣性別平等教育協會 台湾ジェンダー平等教育協会(TGEEA)

あらゆるジェンダーの平等を目指して

台湾ジェンダー平等教育協会提供

台湾では女性の社会的地位が高く、LGBTQに対しても寛容で、2019年には同性婚も合法化されました。そこには人々の意識の変化が大きく作用していますが、それは「教育」を通してもたらされたといっても過言ではありません。その教育を規定しているのが、「ジェンダー(性別)平等教育法」です。台湾ジェンダー平等教育協会は、この法が制定される途上の2002年に学校教員を中心に設立されました。以来、台湾全土でジェンダー平等教育を推進するため、教員研修や啓発講座を開催し、教育教材の開発や関連情報の発信にも力を入れています。国内外の大学生や高校生の訪問も受け入れ、青少年たちの自主的なジェンダー学習のサポートもしています。

学びのポイント

なぜ「男女平等」教育ではなく「ジェンダー平等」教育なの?

台湾ではもともと男女平等を目指す「両性平等教育法」の制定が進められていましたが、その途上の2000年にトランスジェンダーの中学生葉永鋕さんが学校のトイレで変死するという事件が起きました。彼が同級生から日常的に「女っぽい男の子」といじめられていたことが明るみに出て、「男女」の概念では同性愛やトランスジェンダーを含む多様なジェンダーに対応できないことがわかり、「両性平等教育法」から「ジェンダー平等教育法」へと名称が変更されました。以来、台湾では様々な場面で「男女平等」ではなく、「ジェンダー平等」という言葉が使われるようになり、生物学的な性、性的指向、性自認、性表現の平等が目指されています。

台湾の「ジェンダー平等教育」ではどんなことを学ぶの?

台湾の小・中学校では毎学期4時間、ジェンダー平等教育法に基づく授業、活動を実施すること、高校ではジェンダー平等教育を教育過程に取り入れることが定められています。保健体育など特定の教科だけでなく、すべての学習領域でジェンダー平等教育を融合的に進めることになっており、「性教育」もそこに含まれます。つまり、社会におけるジェンダーの平等をあらゆる面から実現しようとしているわけですが、これは、生物学的・医学的取り扱いが中心となる日本の性教育とかなり異なります。LGBTQについても、小学校ですでに「多様な性的指向」を学ぶ機会があり、早い段階で理解できるようになっています。中学校では、社会の中のジェンダー差別を調べ、改善策を提案することも課題になります。このように、台湾のジェンダー平等教育では、個人の心身の発達から社会文化的な課題まで、包括的に学べるようになっています。

橋本恭子撮影

さらに学びを深めよう

  1. 【事前学習】ジェンダー、性的指向、性自認などのキーワードを調べてみましょう。
  2. 【事前学習】【事後学習】台湾と日本のジェンダーギャップ指数を調べてみましょう。
  3. 【事前学習】【事後学習】台湾の「ジェンダー教育」と日本の「性教育」を比べてみましょう。

参考資料

ジェンダー平等教育協会については、堀口菜穂「台湾スタティーツアー報告 : 台湾の性的マイノリティに関する団体を訪問して」 (『社大福祉フォーラム 2015報告』、日本社会事業大学、2015年)があります。ジェンダー平等教育については、倉本綾子「台湾におけるジェンダー平等教育と性教育」(『家政学原論研究』No.44、2010年)がわかりやすくまとめています。ジェンダー平等教育法の制定過程については、福永玄弥「性的少数者の制度への包摂をめぐるポリティクス――台湾のジェンダー平等教育法を事例に――」(『日本台湾学会報』No.19、2017年10月)に詳しいです。男女の平等については、赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための60章』(明石書店、2016年)の第29章「女性――鮮やかな活躍、続く格闘」に詳しい説明があります。台湾の女性全般について知りたい場合は、台湾女性史入門編纂委員会編『台湾女性史入門』(人文書院、2008年10月)を読んでみましょう。

(橋本恭子)

ウェブサイト
公式 https://www.tgeea.org.tw
所在地
台北市中正区羅斯福路三段218-2号3F
特記事項
1.B&Sプログラムの受け入れについては、2020年の場合、2月から10月まで、毎月2グループのみとなっています。事前に質問票を送付してください。
2.生徒さんだけでなく、先生方にもぜひ訪れていただきたいスポットです。