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艋舺 龍山寺

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艋舺 龍山寺

台湾の人々の祈りを知る生きた博物館~台湾の神様の百貨店

福建の泉州から台湾に移民した人々が1740年に建立した、観音菩薩を主神とするお寺です。台北市南西の萬華にあります。萬華は元来「艋舺」という表記でした。萬華と艋舺は、台湾の多くの人々が話す言葉(閩南語。台湾語とも言われます)でともに「バンカ」と発音されますが、艋舺の字は、台湾を植民地統治した日本人には馴染みがなかったため、萬華とされました。龍山寺には、観音菩薩以外にも台湾で広く信仰されている様々な神様が祀られています。例えば、学問の神である文昌帝君、もともと航海安全の神で、現在は広く願いを叶えてくれるとされ、台湾でも最も人気のある天上聖母(媽祖)等です。そのようなことから龍山寺は、台湾の民間信仰を知ることができる場になっています。

学びのポイント

お寺なのになぜ多くの神様が?

18世紀初頭、「龍山寺観音菩薩」と書かれたお守りが竹林にかけられており、夜に光ることから人々が崇めるようになりました。やがて、地元の有力者が福建の晋江県にある安海龍山寺から観音菩薩を迎え入れ、寺を建てました。これが現在の艋舺龍山寺のおこりです。艋舺龍山寺は、地元名士が建てたお寺なのです。この伝統は今も残り、寺の運営は僧侶ではなく、信者代表の集まりである管理組織が行っています。人々の願いから生まれたお寺であるため、仏寺であるにも拘わらず、人々の願いと強く関わる多くの神様が祀られることになったのです。

艋舺という地名はどこから?

台湾島は、漢人がもともと住んでいた島ではなく、オーストロネシア語族の人々が先住民として暮らしていました。台北も例外ではありません。やがて漢人が多く住むようになると、漢人文化に同化する先住民が現れ、彼らは平埔族と呼ばれました。彼らが漢人との交易で使っていた木掘りの船が「Banka」と発音されたため、このあたりの地名となり、「艋舺」という漢字があてられました。 Bankaを艋舺→萬華と表記する地名には、台湾の歴史が凝縮されています。

宗教の場だけではないお寺

艋舺龍山寺は、30年以上にもわたって慈善事業と社会教育に力をいれています。災害発生時の義援金はもちろん、消防車やはしご車などの寄贈、低所得者への支援、公益団体への寄付など、様々な慈善事業を行っています。2011年の東日本大震災でも8000万円近くの寄付をしました。図書館も設置し、市民向けに講座も行っています。 龍山寺だけでなく、台湾の有名な寺廟は、積極的にこのような活動を行っています。

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】台湾では神にお願いする時に紙銭(紙で作ったあの世で使うお金)を燃やす習慣がありますが、現在、多くのお寺では燃やすことを禁じています。なぜ禁止されたのか、調べてみましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】「一府二鹿三艋舺」という言葉が台湾にあります。これはどのような意味でしょうか。
  • 【現地体験学習】日本とは違う神とのコミュニケーションの取り方を見つけてみよう。
参考資料
現代の台湾の宗教については、赤松美和子・若松大祐編『台湾を知るための60章』(明石書店、2016年)の第47章「宗教」(木村自)を、宗教と関わる習慣については、同書第48章「年中行事」(木村自)に詳しい紹介があります。また、台湾のあの世とこの世については、若林正丈編『もっと知りたい台湾 第二版』(弘文堂、1998年)の「宗教」を読んでみましょう。艋舺龍山寺が紹介されています。多くの神様には、下記の公式ウェブサイトを見てみてください。艋舺龍山寺に祭祀されている神々が日本語で紹介されています。先住民、台湾に住む漢人については、『もっと知りたい台湾 第二版』の「エスニシティ―と社会階層」から概略をまずは学んでみましょう。

(上水流久彦)

ウェブサイト
公式 http://www.lungshan.org.tw/
交通部観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003016&id=2558
台北旅遊網(台北市政府観光伝播局) https://www.travel.taipei/ja/attraction/details/780
所在地
台北市萬華区廣州街211号