前野清太朗提供

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新竹都城隍廟(新竹北門大街)

城隍廟(新竹北門大街)

市場と信仰の融合したスポットで台湾の民俗文化を学ぶ

新竹北門大街にある市場には、新竹の町を守る神様「城隍」の廟があります(正式名称「新竹都城隍廟」)。18世紀から19世紀にかけて、台湾北部には現在の台北、桃園、新竹、苗栗などの広い範囲を管轄する行政区画・淡水庁が置かれていました。新竹はこの淡水庁の政庁が置かれていた町で、現在の北門大街一帯はかつての淡水庁の官庁街であったと言われています。この場所に初めて城隍廟が建てられたのは1748年のことでした。以降大正期までに7回の補修・拡張を経て現在に至ります。廟を囲む市場を抜けた先には香炉のならぶ広場があり、広場から武神の絵が描かれた大きな扉をくぐると廟のエリアに入ることができます。

学びのポイント

城隍廟はどの宗教の施設なの?

台湾の廟は道教、仏教、儒教の信仰がミックスされた民俗信仰の場所です。城隍廟にまつられている神様は各宗教の要素がミックスされた典型といってよいでしょう。城隍とは本来都市を囲む城壁と堀を指し、城隍への祭祀はもともと儒教的な年中行事の一つだったといわれます。ところが時代が下るにつれ城隍は人間の姿をした神様として理解されるようになり、さらに道教的な神様である天帝の部下として都市などの行政区画の安全を掌り、同時に仏教的な世界観である地獄へ死者を導く神様であると考えられるようになっていきました。細い通路を挟んだ城隍廟の隣には弥勒菩薩(中華圏では一般に布袋の姿をしています)と観音菩薩がまつられ、城隍とともに厚い信仰を集めています。

祀られている神様はどんな神様?

広場から門を入ってすぐのスペースは、供え物や各種受付のスペースです。右手にある長いひげに背の高い神像が謝将軍、左手の背が低く黒い顔の神像が范将軍で、いずれも死者を導く冥界の神様です。この廟の主神である城隍は正面の主殿に鎮座して廟全体を見渡しています。祭壇の両側にある電球のタワーは光明灯といい、信徒がお布施をしてその年の平安無事を祈るものです。城隍の祭壇の裏には奥の間にあたる後殿があります。そこでは城隍の夫人と息子たち(大少爺、二少爺)がまつられています。城隍夫人の右手の註生娘娘は子宝の神様で、台湾ではよくまつられている神様です。

新竹がビーフンと肉団子の名産地になった背景は?

城隍廟をとりまく市場でよく売られているのが貢丸(コンワン)という肉団子と米粉(ビーフン)です。日本でもよく食べられるビーフンは実は台湾語です。台湾は清代より砂糖と米が二大作物として知られていました。ビーフンは米を水に浸してデンプンを抽出し、そのデンプンに水を加え麺に練り上げて乾燥させるという工程で加工されます。水が豊富で冬場に冷たい風の吹く新竹は、ビーフンの加工や乾燥に適しており、台湾有数のビーフン産地になりました。一方、豚肉をミンチにした肉団子の貢丸が新竹名物になった背景は定かではありません。かつては米ぬかを豚の飼料によく用いていたことから、一説にはビーフン生産の副産物として養豚が盛んになったためではないかとも言われています。
さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】台湾グルメと結びついた台湾の農産物の歴史を調べてみましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】台湾には非常にたくさんの廟があります。それぞれの神様の歴史を調べてみましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】清朝時代の台湾について調べてみましょう。
参考資料
さまざまな宗教要素が入り混じった台湾の民俗宗教については、「台湾宗教百景」に詳しい説明があるので読んでみましょう。また書籍では新井 一二三『台湾物語─「麗しの島」の過去・現在・未来』(筑摩書房、2019年)にも解説があります。個別の神様の来歴について調べるには、やや専門的なものの、野口鉄郎ほか編『道教事典』(平河出版社、1994年)が便利です。新竹を舞台とした映画のトム・リン監督『九月に降る風』(2008年)や、台湾のお葬式を題材にした映画のワン・ユーリン監督『父の初七日』(2010年)を見てみるのもよいでしょう。

(前野清太朗)

  

ウェブサイト
公式 http://www.weiling.org.tw/

(中国語)


交通部観光局 https://jp.taiwan.net.tw/m1.aspx?sNo=0003109&id=447
所在地
新竹市中山路75号