チョコレート共和国提供

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巧克力共和國

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チョコレート共和国

チョコレート文化からサスティナブル企業の取り組みを知る

チョコレート共和国は桃園市の八徳区にある、チョコレートをテーマにした博物館で、桃園駅からバスで約30分の場所にあります。到着すると、チョコレートとミルクが溶け出したイメージの、趣向を凝らした外観に圧倒されます。館内にはチョコレートの甘い匂いが漂い、カカオを栽培する温室のほか、チョコレートやカカオの歴史を学ぶことができる展示があって、訪れる者の知的好奇心を刺激します。最上階にあるチョコレートを使った手作りのお土産も人気のコンテンツの一つです。チョコレート共和国を経営する宏亜食品は持続可能(サスティナブル)な経営を目標としており、館内の各所で環境に配慮したデザインを見ることができます。さらに、博物館近くにある宏亜食品の工場を見学することも可能です。

学びのポイント

チョコレートの歴史と可能性

子どもに限らず大人も魅了してやまないチョコレートですが、200年の歴史があると言います。カカオ豆の産地としては、アフリカのガーナやコートジボワールが有名ですが、原産地は南米で、エクアドルやベネズエラなどの南米の国々のほか、アジアでもインドネシア、そして、台湾の南部でも生産されています。チョコレートはカカオ豆を焙煎してすり潰したカカオマスを絞ったココアバターに砂糖を加えて製造されます。ココアバターは融点が30℃なので、噛んだ時にはパキッとした感触でありながら口溶けは滑らかという、チョコレート独特の食感が実現するわけです。
おいしいのですが、虫歯や肥満の原因としてどちらかというと悪者にされがちのチョコレートでしたが、近年、チョコレートに含まれるポリフェノールが血圧を下げたり、善玉コレステロールを増加させたりするなど、健康増進機能も注目されるようになっています。

宏亜食品という企業

チョコレート博物館を運営する宏亜食品は1976年に創業し、同時に桃園市の八徳区に現在の工場を創設しました。当時から発売されている、ウエハースを重ねたクッキーにチョコレートを被せた「77乳加巧克力」は、台湾の老若男女誰でも知っているブランドです。宏亜食品は、ホームページの社長の挨拶にもあるように、「サスティナビリティ経営」を第一に考える会社です。2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際連合の提唱する17の持続可能な開発目標SDGs( Sustainable Development Goals)の実現に向け、経営努力を続けています。その中でも原料調達には特に注意しており、「水ストレス」の高い国からの農産物の輸入を制限しているほか、輸送時の二酸化炭素排出量を抑えるため、可能な限り台湾内部での原料調達を心がけています。

台湾のカカオ豆

チョコレート製造に欠かせないカカオ豆は台湾南部の屏東県でも栽培されていて、宏亜食品も台湾産カカオ豆を積極的に採用しています。南米原産のカカオが台湾に根付いたのはなぜでしょうか。その歴史を紐解くと日本と台湾のつながりが見えてきます。台湾南部には、第二次世界大戦前に日本からチョコレート会社が進出してカカオやコーヒー豆の生産を試みた歴史があると言います。台湾で生産されるカカオ豆は品質が保障され、評判も良いのですが、冬の気温が低い台湾の気候は熱帯地方と比べてカカオの生育には厳しく、生産量は決して多くはありません。そのため、「世界一高いカカオ」だと言われています。

チョコレート共和国提供

さらに学びを深めよう
  • 【事前学習】【事後学習】国際連合の提唱するSDGsの17の目標について調べ、あなたが協力できることを探して発表しましょう。
  • 【事前学習】【事後学習】身近なチョコレートを製造販売する企業が世界のどこからカカオを仕入れているかを調べ、その国について調べてみましょう。
  • 【現地体験学習】台湾の商店で売れているチョコレートの味、パッケージや原材料などについて、日本のものと比較して、同じところと違うところを探してみましょう。
参考資料
チョコレートの歴史や機能については、夏目みどり「チョコレートの歴史・食文化と機能性」(『化学と教育』67巻4号、2019年)を、読んでみましょう。日本統治期の台湾におけるチョコレート産業については、市川歩美「日本と台湾、「チョコ」が結ぶ長く深い意外な縁」(東洋経済Online 2019年5月22日)を読んでみましょう。

(國府俊一郎)

ウェブサイト
公式http://www.republicofchocolate.com.tw

(日本語・中国語・英語)


桃園観光導覧網(桃園市政府観光旅遊局)https://travel.tycg.gov.tw/ja/Travel/Attraction/792
所在地
桃園市八徳区瑞興里4鄰巧克力街177号

特記事項
人数制限:巧克力共和國は制限なし。工場見学、DIYは要相談。
事前相談:工場見学、DIYは要相談。
体験学習:DIYあり。事前に相談が必要。
事前相談は宏亞食品の張逸彦さんまで、Eメール(A10846@hunya.com.tw)日本語可。
※ただし、2022年9月より一時休館中。